当ブログsoireeは管理人kanaeによる雑多な二次創作を扱っております。苦手な方等はご容赦ください。


by kanae
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ただいま

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ただいま



意外ときれいな、ほぼ出発前と変わらない自分の部屋に千秋はちょっと驚いた。
先に鍵を開けて入ったのだめはパタパタと窓を開けに向かう。
「……お前よくがんばったじゃないか」
「えへへ」
こちらに背を向けたままのだめは笑った。窓が開くと、ゆるゆると空気が新鮮になってゆく。
荷物をおろしてふうとソファに沈み込めば、さも当たり前のようにのだめが隣に腰をおろした。
「でものだめ実は先輩の部屋にあまり来なかったんです」
と、頭を千秋の腕に預けながら言う。
「誰かとだったら別にいいんですけど、ひとりだとなんか広すぎて・・」
誰かとってここ俺んちなんだけど、という言葉は飲み込んでおいた。
「でも部屋はキレイにしたしピアノもたまに弾きに来ましたカラ!」
と自慢げに言うので、当たり前だろ、と頭をはたいておいた。
「お前、どうだった?三ヶ月間何してたの」
「何してたのってガコ始まらなくてもんもんしてマシタ」
のだめの口調に黒いものが混ざりだして、電話口での会話がフラッシュバックする。
あ、地雷・とひとり納得した。
のだめが黙り込んでしまったので千秋はその頭を寄せて、鼻をうずめる。
「・・・・・・お、洗ってある」
「ムキ―!失礼ですヨ!!」
ぽかぽか胸をこぶしでたたいてくるのだめをはははと笑えば、おもいっきり押されてひっくり返ってしまった。
「わ」
こちらをのぞきこむのだめの茶色い瞳は影で深く黒になる。
「・・・ちょっとめ、つぶって」
「?」
そうして瞳を閉じたのだめに、ポケットの中にしまっておいた赤い石のネックレスをとりだして、手を回してつけてやった。小さな金具をわっかにはめる。拘束された細いうなじはすぐ折れてしまいそう。
この感情は、独占欲なのだろうか。
そのひやりとした感触にだろうか、のだめが目をあける。それから首につけられたものが何なのかわかったようで、うれしそうな声を出した。
「もしかして・・・ネックレス・・・・ですか?」
「さあ」
のだめは少し紅潮した顔で千秋を見下ろす。のだめに組み敷かれている、というこの状態は多少いけ好かないけど、まあいいとしよう。のだめの顔に表れた表情を見て、くつくつと千秋は笑った。
「ありがとうゴザイマス~!!」
うれしさのあまりにぎゅうと千秋に抱きついたのだめの顔が赤い。じわじわとある種の感情が湧きあがってきて、普段ならすぐ怒鳴って放り出すところを、のだめにしてみれば意外に長い時間をかけて、ゆっくり押し戻した。
「重い」
「あっすみまセン!」
「あほのだめ。気を利かせろよ。だからおまえは・・・・」
「おまえはなんですか?」
「・・・・・・」
「言ってくださいよいじわる!」
「いや、こういうのは自分で気づかなきゃだなぁと思って」
「気になりますヨ!」
「いやいいんだ気にしないで」
「ふぎゃー」
いつもの会話も、この距離も、のだめが側にいるという安心感をもたらして、知らず千秋はふと笑みをこぼした。いつからかあった、二人一緒にいることの安心感。それと、離れてさびしいと思うこと。
ただいま、と耳元でささやくと、のだめは花がほころぶように笑った。
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by kanae-r | 2004-11-23 20:18 | ss>nodame | Comments(0)