当ブログsoireeは管理人kanaeによる雑多な二次創作を扱っております。苦手な方等はご容赦ください。


by kanae
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かんおけの綱吉 2

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簡単な状況説明の後、綱吉はにこりと笑った。
「ふうん」
堕ちたね、とそう誰に向けた言葉か、そう呟く。
六人と二人は、深く深く頭を下げた。
「本当に 申しわけなかった」
バジルは頭を下げられたが、次に頭を上げたとき、当主の姿はもうなかった。
「リボーン殿?」
バジルが隣を見ると、まだ頭を下げたままのリボーンが大丈夫だ、と答えた。



高い城―ヴィシェフラッドはさながら要塞のようなつくりをしている。
ちょうど寝ずの番だったバジルは、赤く燃える夜明けの空気を感じ取って、鼻を啜った。吐く息は白く、この夜明け前の時間がバジルは好きだった。
ふわり、と。
勢いよくバジルが振り返ると、そこにはニコリと笑う当主の姿。「デーチモ!」

「気付かれちゃった」
「花の香りがしましたので」
ああそっか、と綱吉は袖に鼻を近づけた。
「そんなににおうかな」
「コレは香水ですか?」
ぶしつけとは思いつつ聞く。
「ほら、あれだよ。死臭がしないようにね」
瞬きをしないうちに当主が間近に立っていた。バジルはひっと息をのむ。
そして冷たい手のひらがバジルの頬に触れ―甘ったるい、濃厚な匂いが鼻をついたとたん、バジルの頭がくらっとして―そして彼は倒れた。

「君もかわいそうな子だねぇ」
寒さで目の覚めたバジルはまだ綱吉がいたことに驚き、そしてそんなに倒れていなかったことを知る。朝焼けの途中だ。
倒れたからといって何かするでもなく、バジルを放置したまま、綱吉は城壁に腰掛け、まるで動物をみるかのようにバジルを見やった。
「家光に拾われた子だろう?」
ふい、と身体が跳躍して、黒く長いコートが翻った。綱吉は音もなく、城壁のさらに上、物見台までとんだ。
「よくしていただいているので」
寒さでかじかみながら、震える声でバジルは答えた。
「そうか」
綱吉は一点を見据えている。バジルははっと気付いてその方角を見た。しかし、何も見えない。
「・・・俺のものに手をだそうだなんて、骨のあるやつもいるもんだね」
不敵なその凄惨な笑みが広がり、バジルは見えないその方向をみた。
人間には見えないのだろうか。
その名前を地の果てまでとどろかす綱吉に戦争をふっかけるのは、よほどの自信家か阿呆である。そしてその数は決して少なくない。それだけ綱吉の持つものに含まれる、利益や魅力は大きいのだ。



リボーンはバジルからの報告を受け、図面を見やり小さく首をひねった。
「チェリャビンスクねぇ」
突如として聞こえた声に勢いよく振り返ると、彼の当主が漆黒のマントをまとって立っていた。デーチモの刺繍。金の装飾。絹の縁取り。負けないくらい美しい顔をした当主。
「綱吉・・見えたか?」
ふわりと地図を覗き込んだ彼からは花の香がする。
「一般人だね、兵士が一万人くらい。まぁ寄せ集めだけど」
「うちは今、一万南で五千が西だ」
「敵対中なの?」
「戻すと手薄になってしまう」
「なんで気付かなかった」
「気付いていなかったわけではないが」
言いかけ、リボーンは首を振った。
「言い訳はやめておこう」
「賢明だね」
綱吉は愉快そうにわらう。
「守護者は?」
「4人は持ち場にもどった。綱吉を起こすために最優先できてもらったからな」
「でもその間、人が死んだ」
歌うように綱吉が言う。
「今失うものより、後で失うもののほうがずっとおおきかったからだ。今損失したほうが、被害は拡大しない」
ぎ、とリボーンが綱吉を見上げる。
「俺の判断だ」
黒い少年の瞳と、冷えた琥珀色の瞳がかちあう。綱吉の手が少年の首にのびる。
リボーンは身を硬くした。
そして相手をにらむ。
綱吉がその手を、頬にずらした。
「確かに、遠いものねぇ」
お前も大きくなったね。そうして綱吉はぽん・と頬をたたいた。


「五千なら出せます。」
獄寺の言葉にリボーンがうなずいた。
「今はそれしかないだろう。それに綱吉が出る」
「出ていただけるのですか」
獄寺が身を硬くした。
「それより、チェリャビンスクの担当は君だってきいたんだけど」
凛と声が通った。
獄寺はきりきりと胃が痛くなるのを感じる。
「・・・はい。そのとおりです」
こぶしを握り締め、痛みを追いやる。
「ですから責任を持って最後まで責務を全う致します」
綱吉のもの言いたげな視線に、獄寺の言葉が小さくなった。
「・・・俺では力が及びませんか」
「それは知らないけど」
山本が、まぁまぁその辺で、と仲介をしてくれた。
飄々としているこの男は、ヴィシェフラッド担当である。彼の敷く善政は民に評判がいい。
「俺も普段寝ているだけだから、えらそうなことはいえないんだった」
はは、と綱吉が笑う。
「たまには俺も働かないとねぇ」
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by kanae-r | 2010-01-28 15:42 | parallel>reborn | Comments(0)