当ブログsoireeは管理人kanaeによる雑多な二次創作を扱っております。苦手な方等はご容赦ください。


by kanae
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3 失うためじゃなく、見つけるために

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「屋敷を壊して申し訳ございませんでした」
獄寺がリボーンに呼び出され綱吉の執務室にいくと、土下座させられた綱吉がリボーンに踏みつけられて頭を下げていた。獄寺は真っ青になって、駆け寄る。「やめてください10代目!リボーンさん」
ぐぐ、と綱吉が抵抗しているが、リボーンがにやにや笑って動かせさない。
「いや、一番今回迷惑をかけたからな」
昨日綱吉がザンザスと争ったことは記憶に新しい、というか昨日の今日なので、まだ復旧できていない部署もある。
「いいんです、最近お疲れなのは知っていましたから」
「ええ?わかったの?」
へんだなぁ、と首をかしげる綱吉。いつの間にかリボーンの足はどかされていて、首を腕で締められていた。
「ぜんぜん働いてねぇだろ、てめぇは。俺ばっかり現場に行かせやがって」
「いたい!いたい」
獄寺はわかります、と言った。リボーンはまるで、家族のように柔らかい視線で獄寺が見守るので、なんだか面白くなくて、余計に手を強くする。
ぎゃーと、綱吉が叫んだ。




その日の夜、綱吉が熱と焔を出した。
文字通り発火した。とてもとてもとても疲れているとき、綱吉はこうして熱を出して、熱と一緒に額はおろか重度の場合は全身から発火する。以前こうなったときは、二度目の試練を受けたとき、初めて人を殺したとき、死ぬ気の臨界点を越えてしまったとき。今度はなんなのだろうか。こうなったときは、ひたすら綱吉が目を覚ますのを待たなければならない。
山本が沈静の雨を降らす。(こんどはなんだろう)最近疲れた顔をしているのは、山本も知っていた。
リボーンが雨にぬれながら、苦しむ綱吉を見ていた。

獄寺は、そのときヴァリアーの本部にいた。
「ザンザス、なんとかしてくれ」
珍しく獄寺が主以外の人間に頭を下げる。ザンザスは冷たい表情をしていた。
「俺には何もできない」
「心配じゃねぇのか」
「お前らにもやるべきことは沢山あるだろう」
「・・・しらねぇよ」
バタン。とドアを閉めて獄寺が帰っていく。ザンザスはその声を聞いた。
(お前が原因じゃねぇか)、と。
会話を聞いていたルッスーリアが、ぽつりという。
「ボス、失ってからじゃ遅いのよ」
あの子はボスの天使でしょう。ザンザスは自らの手のひらをみた。昨日、彼女を殴った。昔のように。





バァン、と大きな音を立ててドアが開いた。人払いをしてあるので、ここにこられる人物は限られている。ましてそんなあけ方をするのは限られていた。
「ザンザス」
祈るようにして主を見ていた獄寺が名を呼ぶ。リボーンが鋭く言う。「てめぇは呼んでねぇ」
「しらねぇ、後は俺が何とかするからカスどもは出てけ」
「・・すまねぇ」
獄寺は素直に部屋を出て行く。リボーンが殺気をたて、ザンザスをにらんだ。
「これ以上ツナを苦しめるなら、別れろ。俺がもらう」
ザンザスは答えなかった。その可能性がないのを、リボーン自身がわかっているはずだった。
綱吉はこれほど、多くの人に愛されている。
もしかして、ザンザスはさびしいのかもしれなかった。部屋を出ていく音を聞いて、そして雨の中、苦しむ綱吉の元へ歩み寄る。
苦しげな吐息。紅く染まった頬。美しい焔に照らされ、白い肌がすけるよう。

手のひらを伸ばす。焔に触れられるのは己のみ。どれだけ優越感があることか。
彼女に触れられるのは、この瞬間、自分だけ、なのだ。



「ツナ、」

この瞬間、直感したことがある。
ザンザスには、綱吉しかいない、のだ。
そして綱吉にも、ザンザスしかいない、のだ。
この空虚と孤独を埋めるには。


声に、呼ばれて、
琥珀色の瞳が、オレンジ色の焔を伴って、開かれる。
なんてうつくしいいろだろうか。
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by kanae-r | 2010-02-01 17:30 | 夜に恋して5つのお題>r ♀ | Comments(0)