03 息をひそめて、微笑んで
2010年 07月 13日
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綱吉は息を潜めている。
金属質の匂いが鼻を突く。血の匂いだ。
遠くで爆音が聞こえる。でも今、この広間には、自分と、骸、そして小さな子供しかいない。
自分から流れている血が、
あたりを紅く染めているが、綱吉はどちらかというと、目の前の光景ばかりが気になってしまう。
今は男の姿をしている骸。
クロームを意識の向こうにやり、自分が具現化している。
男はどこか哀愁と凄惨さが織り交じった笑みを浮かべて、そして
手のひらの上で幻術を織り交ぜる。
大きな音がして、
爆発がそのあたりを一蹴した。
子供といえど、この世界では、どんな知識を持っていて、どんな頭脳をもっていて、
どんな戦闘能力があるか。それは未知数だ。
そしてその子供は、何かを綱吉に伝えながら死んでいった。
幻術使いの子供。
実験室にいた子供は、骸の表情とどこか似ていた。
「躊躇していましたね」
ふふ、と骸が笑った。
「子供だったからね」
綱吉はよいしょ、と掛け声を書け、立ち上がる。ぼたぼたと、血がこぼれた。
「綱吉くんには珍しいことです。冷血な君が」
たしかにね、と綱吉は笑った。
「できれば助けてあげたかった」
綱吉は息を潜めている。
金属質の匂いが鼻を突く。血の匂いだ。
遠くで爆音が聞こえる。でも今、この広間には、自分と、骸、そして小さな子供しかいない。
自分から流れている血が、
あたりを紅く染めているが、綱吉はどちらかというと、目の前の光景ばかりが気になってしまう。
今は男の姿をしている骸。
クロームを意識の向こうにやり、自分が具現化している。
男はどこか哀愁と凄惨さが織り交じった笑みを浮かべて、そして
手のひらの上で幻術を織り交ぜる。
大きな音がして、
爆発がそのあたりを一蹴した。
子供といえど、この世界では、どんな知識を持っていて、どんな頭脳をもっていて、
どんな戦闘能力があるか。それは未知数だ。
そしてその子供は、何かを綱吉に伝えながら死んでいった。
幻術使いの子供。
実験室にいた子供は、骸の表情とどこか似ていた。
「躊躇していましたね」
ふふ、と骸が笑った。
「子供だったからね」
綱吉はよいしょ、と掛け声を書け、立ち上がる。ぼたぼたと、血がこぼれた。
「綱吉くんには珍しいことです。冷血な君が」
たしかにね、と綱吉は笑った。
「できれば助けてあげたかった」
by kanae-r
| 2010-07-13 20:07
| 甘えて、5題>r