当ブログsoireeは管理人kanaeによる雑多な二次創作を扱っております。苦手な方等はご容赦ください。


by kanae
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30

2 ひらひらと 舞う海風が 寄せたもの


 海の潮の匂いが、風が吹くたびに海から届く。
寄せては返す波音が遠くで聞こえる。
少し肌寒い一日になるでしょう、今朝方テレビの中で美人の天気予報士が言っていたのを思い出す。顔に当たる海風は確かに冷たかった。
先を歩くのだめの首から垂れるマフラーがひらひらと風にたなびいているのが、日の出のすぐ後、朝の空でとてもまぶしかった。薄青のそらの空気はひんやりと、そこに潮の匂いをはらませていた。
朝の散歩いきましょーというのだめの言葉についてきたのはなぜなのか千秋は甚だ疑問であったけれども、ひんやりと透明な朝の空気に触れると、どうでもいい気がしてきてしまった。
もうこんなことが何年目になるのだろう?
 ひょん、とのだめが防波堤に飛び乗って、バランスをとりながら歩きはじめる。
下から見上げたのだめの髪が、ふわりと風に乗って金色に見えた。
千秋は追いついて、隣で歩調を合わせる。前方には、カーブの先にきらきら光る水面。
前を向いていたのだめの顔がぱぁっと明るくなる。
―先輩!キレイデス!
―うん
本当だ、と千秋は笑みを浮かべた。朝の光が透けるようにのだめの顔を照らしている。

そのとき一陣強い風が吹いて。
ざぁーっという音と共に、ふぎゃという奇声が聞こえた。あ、嫌な予感。
―う、わ
予想通り、ふら、とこちらによろけたのだめを、肩の上で千秋がキャッチする。なんだこれ。スミマセン!という声は、背中の方から聞こえ。
―バカ、気をつけろよ。手、離すぞこのやろう
声に怒りを含ませて言うと、待って待って、とのだめが防波堤の上に姿勢を戻そうとする。千秋は腕に力を入れて、体制を戻してやった。まるで子供にしてやるように。
髪が顔にかかったままのだめがにっこり笑ってどうもと言った。毒気の抜かれる笑い方だ。
しょうがねぇなと手を差し出すと、のだめはまじまじとその手を見つめ、はにかむように笑って千秋の手をとった。そうして二人で歩き出す。
しばらくして、
―なんかこうやってずっと歩いていけたらいいですネ
ポツリとこぼすようにのだめが言ったので、千秋はくつりと笑う。
―なっ・・笑うことないじゃないデスか!
ふぎゃーとのだめが言うので、だってオマエ・・と千秋が笑う。
―意地悪!性悪男!
―いいすぎだろ
くだらない言いあいをしていても、しっかりと千秋の手はのだめを支えている。
海風は追い風となり、二人の背中を押した。
[PR]
by kanae-r | 2004-12-30 23:59 | 言葉で綴る漆題-其の弐>nodame | Comments(0)