当ブログsoireeは管理人kanaeによる雑多な二次創作を扱っております。苦手な方等はご容赦ください。


by kanae
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05 朝はまだ遠い

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「御戻りにならないのか」
車で待機していた獄寺が窓ごしに問う。
「綱吉が炎上中だよ」
目深にフードを被りながらマーモンは応えた。
そうか、と短く獄寺が呟く。
熱を抑えられるのはマーモンの上司に任せた方が効率が良いし、これ以上綱吉の熱にあたる被害者を出すのは忍びなかった。
「めんどくさい上司だね、君のところも」
哀れそうにマーモンが言う。

「今日はもう仕事なさそうだからどこか飲みに行こうよー、うちのボス取られて今日は仕事にならないんだから、お金は出してよね」
「ちっ、まぁその通りだ、誰か呼ぶか」
「そうしようそうしよう」
誰かに獄寺が電話をしているのを横目で見ながら、発熱している屋敷を見ない振りをする。
数人ひっそりと残されている警護の新人を憐れみながら、甘いの食べたいなぁ、と行きたかったパフェのおいしい店のことを考える。

夏の雨が上がり、空が晴れて、夜の空がきらめいている。







一通りの熱を放出し終わって、腕の中にくるまるようにすぅすぅと小さな寝息を立てているその姿は小動物にしか見えなかった。子供のように、純粋であどけない寝顔に、殺意を覚えては、抑え込む。

襲われた形だったので、必然とザンザスは空を見上げる形になっていたが、
いつの間にか夜の星の空が見えている。
鬱血した痕がしっかりと首筋に残っているのを、どこか満足して、するりと撫でる。

このくすぶる感情が愛なのか殺意なのか微妙な所ではあるが、出会った頃のままの小動物らしい一面を、こうして見ていると、
誰かの居場所として受け入れてもらう、ということは、非常に恐ろしいことで、
全てを許容出来てしまうほど、熱が移ってしまうような、力強い相方であり、主人であった。

こんな情けない自分を諦め受け入れて久しいが、
最初、生かされる為に鎖につなぐのだ、と血を守るためだ、とそうした体で生かされ、綱吉の隣に置かれたものだから、
今となっては、もしこの一人を失うことがあっては、生きていてはいけない、とまで思ってしまうほど、
自分まで熱にやられていると改めて認識してしまう。
自我と他人の境界が凌駕しそうな程、血が呼ぶのか、もしくはこれを愛と呼ぶのか。

左手の薬指を持ち上げて、小さく煌めく金色の輪を嵌めた。
いつの間にか目を覚まして驚くように見上げるその瞳に、みるみる涙が溜まっていく。
そう、まだ自分からは、この関係でいいのだと、言葉にして、伝えていなかった。
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by kanae-r | 2012-09-02 07:52 | 空色5題>r ♀27 | Comments(0)