当ブログsoireeは管理人kanaeによる雑多な二次創作を扱っております。苦手な方等はご容赦ください。


by kanae
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01’ The eagle of mount Iwate "Taneyamahagara's pastoral"’





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「どこにいるの?」
綱吉の問いに、くぐもった声が笑った。
「わかるだろう」

暗闇。完全な闇は人を恐怖に陥れるが、その場にいる二人は、暗闇によく慣れ親しんでいる。
身体中の感覚が無いのか、ふらふら、と綱吉が手を虚空にさまよわせる。
ザンザスはその手を取った。


「無理しただろう」


背後から抱きすくめられていて、綱吉はほっと息をはきだした。
「助かった・・」
毒で視覚をやられるとは思わなかった。視覚がないと直感に頼りきりになる。疲弊する。抱きしめられるその力が、ぐ、と息苦しいはどになった。

「何故毒を飲んだ」
「・・・だいたい耐性あったから、何とかなるか、と思った」
「綱吉」
「・・・・取引、だよ」
あたり一面、血の匂いだった。もともとの屋敷の持ち主が、最後に苦しみながら流した血の海である。
綱吉は自分を優しく抱きしめる男が、屋敷の主から仔細を問いただしながら、少しずつナイフで主人の身体を削っていくその様をぼんやりと視ながら、人間はほとんど水分なんだなあ、と改めて関心していた。
あー、リボーンに怒られる
思わず、そうぼやいた時、それ以上に目の前の男が怒りの炎を宿していたので、綱吉はとっさに、すみませんでした、と謝った。綱吉の元家庭教師の名前を引き合いに出すと、この男は怒る。
本当の黒幕は、死に逝ったこの男ではない。


勝負には勝ったよ
綱吉はそう哂うと、ずるずると身体の力が抜けていくので、思わずザンザスは抱く力を強くし、
運べるように抱えなおした。
仕立ての良い黒のドレスが血を吸ってとても重い。












「今更何のつもりだ」
マーモンとルッスーリアが綱吉を治療している。
顔を合わせぬままのザンザスの棘のような一言に、元家庭教師のヒットマンは答えなかった。
ぴりぴりとした空気に、気が散るからやめてよね、とルッスーリアがぼやいた。
晴の光が、きらきらと金色の髪の毛や睫毛を透かしている。金色の光が、滑らかな肌を乳白色に染める。
陶磁器のようなその肌を人に見せなければならないことに、内心苛々としつつも、
貫通したわき腹や、負傷した内臓が痛々しい。
「あぁもう、ツナちゃん可哀想に」
「ほんとだよね、なんなのこの毒はさ・・・いくら耐性があるからといっても日本人の小さな身体には負担が大きいよ」
「てめぇら、うるせぇ」
ザンザスの一言に、二人が黙る。
ボンゴレの奥で、ひっそりと治療を受けているドン・ボンゴレを見やるヒットマンの瞳には何の色も感じられない。
「脅されているのか」
「・・・・時期が来たら話す」
「ここまでやる必要はない」
「・・・そうだな」
リボーンは何か言いよどみ、そして口をつぐんだ。
「ツナ」
呼びかけに、ふるり、と瞼を震わせ、そして琥珀色の炎が燃える瞳が開いた。
視界に、家庭教師と、奥にヴァリアー筆頭の姿を見て、安心したように目尻が緩む。
酸素の吸引で、くぐもった声がリボーン、と呼んだ。
「無事でよかった」
「それはこっちのセリフだ」
「バミューダと連絡とれた?」
「・・いや、まだだ」
「そうか、オレがいくしかないかな・・・」
そういって、また麻酔の海に落ちていようとする。
ゆっくりと瞼を上げて、今度はザンザスを見、ありがとう、と小さく綱吉が言った。
「・・・・」
赤い瞳と、琥珀色の瞳がかち合い、そして琥珀色の瞳がまた閉じられる。








「ボスに取って喰われそうだったわね」
「うん、あの赤い目は怖いね」
ボンゴレが抱える最強のヒットマンと、ヴァリアーの筆頭が退室してから、
残った部屋で治療にあたるルッスーリアとマーモンがぼやいた。
屋敷の外には鷹が飛んでいる。芒のはらに風が吹く。まもなく冬がやってくる。

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by kanae-r | 2014-02-08 10:19 | IHATOV>r ♀27 | Comments(0)