当ブログsoireeは管理人kanaeによる雑多な二次創作を扱っております。苦手な方等はご容赦ください。


by kanae
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05’ Night on the Galactic Railroad’

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「けれども本当に幸いは一體何だろう」


バミューダ・フォン・ヴェッケンシュタインは、歩いてきた人物の言葉に意識を浮上させた。


「かつてのマフィア黎明期に暗黒時代を生き抜くため先人達が闇の力と契約したとして、それが今まで残っているのはそれなりに何か理由があるってことだ。リングは使用者の波動が通過するとそれを高密度エネルギーに変換して死ぬ気の炎を生成し、匣を開けることができる。これってつまり、何を意味しているのか、ずっと考えていたんだ」



手を伸ばせば触れ合うことが出来る距離まで歩いてきた綱吉が、
膝をついて、座っていたバミューダを抱きしめる。
久々に、生きた人の温度に、バミューダは溶けてしまいそうになる。そうか、自分はまだ存在していた。こうして星々の合間にいると、自らの存在と宇宙が一体となって、いつも自我を忘れそうになる。こうしてたまに来てくれる綱吉だけが、バミューダという存在を思い起こしてくれるのだ。
ここはいつ来ても、さむいなあ。
ぼんやりと、綱吉が言う。
寒くはないよ、綱吉。ほら、星々の瞬きを見て。何億光年か先で、また新しい命が生まれた。あそこの銀河では星がいくつか死んだ。バミューダの身体でもある地球でも、一瞬一瞬に命が生まれ、死に、技術の発達の、遺伝子の進化が続く。日々更新が忙しい。

「この石はどのみち、つまり世界に繋がる鍵なんだよね、そうでしょう、バミューダ・フォン・ヴェッケンシュタイン」

石だけではないよ、綱吉。確かに石は手っ取り早いけどね。本来は時間を掛けて世界と繋がる鍵を得るものなのだ。だから不用意に石に手を出すな。

やわらかい、その頬に、手を伸ばす。バミューダは自らの身体をようやく意識した。まだ身体があった。ぐずぐずに溶けそうだ。
遠くて近い世界で、世界を支えるその炎は、バミューダが一番大切にしていて、カワヒラも大切にしている存在。おまえがいなくなったあと、おれはどうすればいいのだろう。おまえも輪廻の中に組み込まれるのだから、いつかまた会いに来てくれるのだろうか。
いつまでもいっしょにいてあげるよ、柔らかく綱吉は答える。


「ねぇ、それよりもさきにね、バミューダ・フォン・ヴェッケンシュタイン。けれども本当に幸いは一體何だろう。お前達を狙う輩がいるとすれば、おれはそれを死ぬ気で排除して、お前達を守るよ、絶対に」
また何か抗争があるらしい。綱吉と触れ合うところから、彼の最近がながれこんできて、バミューダは悲しい気持ちになった。
そんな力を求める必要はないのに。いずれ死はやってくる。どんな生き物にも平等に。
不必要に調和を乱す奴は許さない。

そうだよね、おれも許せないんだ。だから少しばかり力を貸してよ。
綱吉がバミューダを抱きしめて立ち上がる。
ここはさむくて、いやだけれど、おまえは美しいね。おまえの夜の炎がみえるよ。星の瞬きもね。少しだけ外に連れて行ってもいいだろうか。
綱吉の誘いはたまに魅力的だ。カワヒラ、いいかな。少しだけね。、
地上は騒がしくて、みずみずしい。空気は甘く、毒のようだ。始まる命も、終わる命も、全てが愛おしく、ましてや綱吉といっしょだ。愛する綱吉と。、

バミューダは身体の全てを綱吉に預けた。
調和をただしにいくなら、おまえの好きにしていい。
ありがと、と綱吉は答える。

いつまでも、いっしょだよ。柔らかく綱吉がつぶやく。バミューダはふわふわした気持ちに酔いしれた。夜の炎に包まれて、綱吉は美しく輝いた。




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by kanae-r | 2014-02-08 21:05 | IHATOV>r ♀27 | Comments(0)