当ブログsoireeは管理人kanaeによる雑多な二次創作を扱っております。苦手な方等はご容赦ください。


by kanae
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07’ The eagle of mount Iwate "Taneyamahagara's pastoral"’





夜。
冬、夏の豊かな森の姿は今はなく、野原の芒に風が吹く。
雨が降ったあとだろう、あまつゆに、草いきれ。
夜なのに、雲がながれていくのがみえる。



ザンザスがあてがわれている二人の部屋に戻ってくると、
バミューダのところから先に帰ってきていた綱吉が、ザンザスの懐に飛び込んできた。
死肉の匂いを身体にまとわせ、ひんやりとした異次元の空気を纏う。
この雰囲気がザンザスは嫌いであった。くっついてきた綱吉をぶら下げたまま、ザンザスはどかり、とソファに身を鎮める。


「ああ、生きてるねぇ」


漆黒の髪は夜の色、赤い瞳は血の色と同じ。
身体の傷や顔の傷が治ることは無いけれど、それでも傷の下には、生きた血肉が踊る。

ぺたりと身体中をくまなく触って、安心したように綱吉が笑った。
これはダメだ、と思ったザンザスは、力のないその身体を抱きかかえて、浴室に綱吉を放り込み、服を着たままなのを気にせずに張ってあった湯に綱吉を放り投げた。
ひどい!
ぼちゃぼちゃ、あわてる音。
温かい湯船につけて、身体をきれいなお湯で洗い流せば、また陽の元に綱吉が戻ってくる気がしている。






「あれは何だ」
湯船で一通り温まり、ナイトドレスに着替えた綱吉が暖炉の前で体育座りをしている。炎を見つめる琥珀色の瞳が、ようやく人間らしい色を取り戻してきた。
ソファの隣で、どかり、と腰かけながら、ザンザスはちびり、と小さなグラスを傾ける。
「あれは、カルボナリとの賭け。負けたら戦争、勝ったら交渉。勝ったから交渉したの」
「もっとスマートにできただろう」
「・・・うん、反省してる。キレちゃったの」
「ドカス」
「・・・うん、今回の件は自覚してる。リボーンまで脅されてたからさ、もう歯止めきかなくって」
ナイトドレスはザンザスがいつか贈った記憶がある。さすがにそこまで、綱吉に従順な右腕が干渉してくることはなかった。綱吉の白い肌に合う色は、黒だ、とザンザスは考えている。
するり、と腕を伸ばして綱吉がしなだれかかる。ほろり、と亜麻色の髪の束が落ちてきて、光の翳で顔の感情が見えない。
ザンザスは白に黒、その境目に掌を這わす。甘い匂い。死肉の匂いは落ちたようだ。

「・・・これからどうするんだ」
「こんな仕組み・・もっとやり方があるはずなんだ。・・だから俺、違うやり方が見つかるまで、欲望のために力を手に入れようとするやつらは、絶対許さない」
「・・・珍しく積極的だな」
ふふ、と綱吉が笑った。まるで死を超越したように、ザンザスは遠い距離を感じる。この世に綱吉を引き止めるのはきっと、自らの役目だとさえ思う。
ザンザス、ザンザスと子どもがぐずるように、綱吉は古い傷跡にキスを落とした。


一度覚悟をしたその瞳には、戦いの炎が宿り続けている。




まだまだ戦争は続く。芒の野原は戦の炎でやける。
その炎はいつだって、やさしい色のファイアレッドだ。
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by kanae-r | 2014-02-08 21:54 | IHATOV>r ♀27 | Comments(0)