当ブログsoireeは管理人kanaeによる雑多な二次創作を扱っております。苦手な方等はご容赦ください。


by kanae
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人の世のまことの智恵のたとえ話





「獄寺くんどうしたの」
問えば、右腕はいえ、と口ごもった。こういうときの彼は何かに気を遣っている。
何か、と彼の持つ端末を覗き込めば、
綱吉が家庭教師から与えられている”課題の変更”と、そしてヴァリアーと守護者と綱吉と家庭教師のスケジュールだ。これはきっと、家庭教師ではない第三者が変更の圧力を掛けたもの。

「10代目、何か御希望が?」
「特には、何も」
「・・・・そうですか」
獄寺は失礼しました、と言う。何かを言いたそうだ。そもそも獄寺はもともとのリボーンの課題に余り良い顔をしていなかった。いくらボスになるための課題だからといって、人の命を奪うとか、ハニートラップとか、毒への耐性をつけるだとか、身体と精神を痛めつけるような、家庭教師のサドっぷりには綱吉も辟易とする。これは趣味の領域だと思っている。

「リボーンさんはヴァリアーの件をご存知ですか」
「わからないけど、知らない訳はないんじゃない」
彼がいうのはザンザスのことだ。最近彼は綱吉に甘くしてくれる。綱吉が甘えるからだ。ウィンウィンの関係、いいじゃないか、と綱吉は思う。家庭教師はあくまでも家庭教師。
ぼんやり、と綱吉は窓の外を見やる。今夜は晴れそうだ。





ザンザスの背後に近寄る影があり、スクアーロは警戒した。
「ドンナは了承済みだ」
切るようにザンザスが言う。
「俺の仕事に、手を出すつもりか?」
最強のヒットマン、は赤ん坊から、少年といえる年になった。
それでもその殺気は、今までの人とは呼べない格好から、人らしい格好になったことで、より鋭角に、なったように、スクアーロは思う。
自らの主は、その殺気を哂い流した。
「てめぇの趣味が悪いからこんなことになってるんだろう」
自覚しろ家庭教師、とザンザスが言う。
「オレは人から仕事の指示をされるのは好きじゃない」
リボーンは、無表情で答える。
「てめぇの仕事には手をださねぇ。俺はやりたいことをやるだけだ」
ふん、哂って、とその場から居なくなったザンザスを、家庭教師は無表情で追う。




執務室のドアが蹴破られた。
「ダメツナはかどってるか」
「リボーン!苛々してるからってドア壊さないでよ!」
綱吉とリボーンのやり取りに、獄寺はほ、と一息をつく。
いつもと二人の関係は変わらないと思っていた。そう、あのきらきらした中学の頃から。













綱吉が感じるのは、欲しいものが手に入りそうな感覚だ。
ここのところ、”課題”にちょくちょく変更が加えられている。
それは、リボーンの指示によるものなのか、ザンザスの配慮によるものなのか、わからないけれど、
あの赤い目をした獣が、何かを考えていることがわかる。
それが、珍しく綱吉には、直感で見えてこなかった。でも、最近の自分の性格がどんどん悪くなっているのはわかる。俺は汚い。汚れきった人間で、地獄に落ちる。たくさんの人を殺した。不幸にした。でも、家族を守るためだ。よくない風習と、呪いを断ち切るためだ。わがままで何がわるい。でも同時に、死にたくて仕方なくなる。
懐かしい故郷。あたたかな木漏れ日。春の日。わらいごえ。懐かしくて二度と手に入らない平穏。

今夜は晴れそうだ。そして、今夜もどのみち、課題が終わっていなかった。精神的に限界だった。
入手すべき情報のリスト、いくつかの名前と住所を流しながら、直感で気になるものだけ記憶にとどめる。これってボスのやる仕事?情報屋に払う経費を浮かすの?なんなの?家庭教師の名前を良いように使ってるわけ?
与えられた時間はあと二時間と四十五分だった。オーバーすればねっちょりしたお仕置きが待っている。俺もいい年齢なんだけれど。






「――ザンザス、付き合え」
今日も深夜、瞳に絶望を宿して、―身体から、血を滴らせて―赤い獣のところへ、綱吉は向かう。
あの赤い目をした獣が、何かを考えているのか
あいかわらず、珍しく綱吉には、直感で見えてこなかった。

でもわかるのは、彼は綱吉をきっと殺してくれる。解放してくれるのではないかということ。

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by kanae-r | 2014-02-12 04:55 | Alf Laylah wa Laylah | Comments(0)