当ブログsoireeは管理人kanaeによる雑多な二次創作を扱っております。苦手な方等はご容赦ください。


by kanae
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九十九の晒首の下での問答






人が死ぬ、というのは呆気ないものなのだ、ということに
銃を使い始めてから綱吉は学んだ。

かつて、家庭教師が並盛の街へ来てから
主な武器は自分の拳だったし、
それによって、誰かの命を奪うこともなかった。

戦いの渦中で、誰かが命を落としたときには、それなりの恐怖と悲しみを味わったけれども
幸いにも”やりなおし”の出来るパラレルワールドの出来事であったり
その中でも自分が死ぬ、ということに対しては何処かで許容が出来ていた。

イタリア渡航の前から、人の死を自分の手で執り行うための修行が始まって
射撃の腕はいやおうなしには上がったけれど
でも得意といえる種類のものではない。

綱吉のためにチューニングされたガンは、とても軽いものだったし、
引き金を引く、というカンタンな動作そのものが、
とても綱吉には意外だった。

痛みを自らに伴わず、反動もない。






だからこそ精一杯、
綱吉は「死」に至る理由を考えてしまう。







ぱしゅ、とサイレンサー付きの銃が、至近距離で放たれる。
身体から流れる血は命のあった証。
弾が到達するよりも前に、自らの身体から発せられた焔によって、弾は跡形なく燃えた。綱吉は不思議な想いでそれを見つめた。

一般世間で、人が死に至る理由は、大規模な犯罪、一般の人を死に至らしめたとき。
それでも表舞台に出ない場所で、犯罪が行われるケースはままある。
世間で裁かれる人間の数には、法の限界があるのだ、ということを
綱吉は常々感じている。

以前、ジョットも、骸も同じことをいっていたし、もしかしたら自警団のはじまりや、骸が過去、人を死に至らしめた理由というのは
そういった種類のものなのかもしれない。


綱吉を撃った男は、かたかた、と恐怖で震えている。
確かにそうだよね。こんな撃っても効かない人間なんて。もはや人間なのか。何なのか。俺は死ねるのか?
たったいま、この男を追い詰める理由は、ファミリーを裏切り、殺し、売った罪。
裁くに十分な理由がある。死よりも辛い裁きなんていくらでもある。死は甘く、寛容だ。
「ヴィンディチェ」
綱吉が呼べば、シルクハットに黒コート、顔を含め全身包帯を巻いた姿が現れた。
手に鎖を持ち、背いた者を拘束し、牢獄へ連れて行く、マフィア創始期からいるマフィアの掟の番人で、法で裁けない者を裁く存在。 彼らのことが綱吉は好きだった。美しいものが好きな綱吉だが、彼等の身体は腐臭もするし、大変なことになっているけれど、彼等の持つ魂と、仕事への誇り、そして何より死の炎は美しい。

人を死に至らしめるのはカンタンだ。
だけれども裁くべき存在は、罰を受ける方が良いときもある、と綱吉は考える。
死はカンタンで、逃げ道だ。だとしたら、綱吉はいま、まだ甘美なる死には迎えにきてもらえないのだ。








「死は甘美な幻想では無い。終わり、それだけだ。それ以上もそれ以下もない。」

ザンザスは綱吉の主張に馬鹿にしたように答えた。
ヴァリアーはそういう、人殺しに特化した集団であったし、
その中でこの男は、とりわけ常識があって、よく考える男である、ということに、付き合いが長くなって、ようやっと綱吉は気付いた。
綱吉の家庭教師も同級生達も同僚は皆、何処かおかしい。ネジが外れてる。もしかしたら自分も。

巻いた包帯に、やさしく触れられる。
「ヴィンディチェを呼べるのはお前だけだろう、ヴィンディチェを呼べる者など、この世に居るわけがそもそもなかった」
傷口に触れられてやわり、と痛みがやってくる。生きている、と感じる。
彼に抱かれるよりも、こうやって触れられる優しい痛みに、愛情を感じるのは、どこか性格が曲がっている証拠だろう、と綱吉は思う。

「でもさ、俺、時々夢も見るんだ。大切な人が殺される夢とか、俺が殺した人がさ、グロテスクに俺を呪う夢とか。起きたら吐きそうになるよ」
あれは傑作だった、と綱吉は呟いた。
「死よりも辛い罰も辱めも沢山あるけど、それでも死は死だよね。血塗れの手が俺に縋り付くんだ、家族を奪った恨みを切々と」

知恵熱だな、といわれて、ザンザスの大きな手のひらが、綱吉の額を覆い隠す。
じゅう、と炎が、冷たい温度にとかされていくのを綱吉は感じた。また発熱、というか、発火していたらしい。

綱吉はは、と息をはいた。欲情している。早くこの熱に気付いて、と言わんばかりにネクタイを引っ張り、男のがさついた唇に噛み付いた。

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by kanae-r | 2014-02-12 20:33 | Alf Laylah wa Laylah | Comments(0)