当ブログsoireeは管理人kanaeによる雑多な二次創作を扱っております。苦手な方等はご容赦ください。


by kanae
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智恵と歴史の天窓

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獄寺は、明け方、昨晩から行方の知られなかったボスの行方についての報告を聞いて、
はぁ、とため息をついた。

今夜も家庭教師による”課題”のあと、
荒れた綱吉の行方が知れない。
そして同様に、ヴァリアーのボスも。

本来なら、業務時間外ではあるし、ある程度のプライベートが個人には担保されているはずであるから
そこまで介入する権利を、右腕としても持つべきではないとは思っている。
それでも、たまに感じる綱吉の疲れと、怯え。
さすがにここまで、事が続くと、鈍感な獄寺といえど、感づくところはある。

否定をする気はない。
せめて、綱吉がもうすこし、弱音を吐けるように、こちらが強く、ならなければならないのだとも。











「かつて哲学者は視覚を聴覚とともに、対象から離れても成立するため、他の感覚より優れたものと位置付けた。西洋ではこの見解が継承され、伝統的に、視覚および聴覚に関わるもののみが芸術とみなされてきた」

優しい手のひらが、綱吉の額を撫でる。
しゅわり、しゅわり、
熱をすっかり渡してしまえば、
そこには心地いい感覚しか残らない。

赤と黒、夜の闇の褥には、やさしい時間が漂う。


「じゃあ、おれがわかるものは、何?視覚?イメージ?芸術?」
「直感は、知識の持ち主が熟知している知の領域で持つ、推論など論理操作を差し挾まない直接的かつ即時的な認識の形式。合理的かつ分析的な思考の結果に概念化された知識の実体が論理的に介在するようなすべての知識の形式、とは異なっている。
経験や知識と前提への理解が無意識に落とし込められるほど強い場合、意識せずとも正しい認識に至る。」

「・・むずかしいよ」
ぐずる綱吉の声に、低い声がこたえる。

「内臓感覚としての情報の展開・操作・認識も直観の一部と言えるらしいが」

淡々と語る男の声は低く、
振動を持って耳朶に響く。


「ゆめでみるんだ、さいきん、いろんなものをさ」
「・・・・一世が残したものは俺は見れないが」

しゅわり、
「―何を残したんだろうな」
しゅわり、
髪を梳く音。




だんだん、感覚が麻痺してきたのか
赤い瞳は、相変わらず、綱吉には読むことが出来ない。
(もう、おれには直感などないのではないか)





ほろり、と涙粒がこぼれたようで、
それは隣の赤い獣によって、すくい取られてしまった。
















「ねぇ、獄寺くん」
「なんでしょう、十代目」


昼間の執務室は平和であった。
「俺はさ、しっかりとボンゴレのボスだろうか」
「・・何をおっしゃいます」
いぶかしげに獄寺は答えた。
「だってね、最近、直感なんか、はたらかないとおもうんだ」
「そうでしょうか」

「・・・ザンザスの、感情だけが、たまにわからない」
獄寺はごくり、と息を飲み込み、それから覚悟をきめて、諦めたように笑った。

「・・・十代目、それはおそらく、あなたはザンザスに救われているから、です」
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by kanae-r | 2014-02-13 07:03 | Alf Laylah wa Laylah | Comments(0)