当ブログsoireeは管理人kanaeによる雑多な二次創作を扱っております。苦手な方等はご容赦ください。


by kanae
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Kus

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Auf die Hande kust die Achtung, 手なら尊敬。
Freundschaft auf die offne Stirn, 額なら友情。
Auf die Wange Wohlgefallen, 頬なら厚意。
Sel'ge Liebe auf den Mund; 唇なら愛情。
Aufs geschlosne Aug' die Sehnsucht, 瞼なら憧れ。
In die hohle Hand Verlangen, 掌なら懇願。
Arm und Nacken die Begierde, 腕と首なら欲望。
Ubrall sonst die Raserei. それ以外は、狂気の沙汰。







これは間違いなく嫉妬だろう、と千秋は思った。
目の前の、自らが作りだすことの出来ない世界で
彼女は生き生きと羽ばたき、泳ぎ、踊り、歌い、駆け回る。
その動作一粒一粒が千秋の心をつぶさに魅了し、挽きつけやまない。

エリーゼが彼女のために取ってくる仕事はどちらかというと、
世界の名だたる巨匠とのものが多いので駆け出しの自分にとっては
雲の上の上の舞台でもある。
その中であれだけのものを見せられては、どうしようもない感動と、嬉しさと、そして嫉妬と、悔しさと。
いろんな感情が最初はあるのだけれど、最後は音楽の中で彼女が表現しようとした世界の感情の渦に流されて、どうでもよくなってしまう。
いつもこうだ。
インターネットの回線のむこうで、自分のよく知るおおきな手が、たのしそうに撥ねた。


ただいまぁ、と演奏旅行を終えて
帰ってきた彼女が、いつものように自分にハグしてくる。
おかえり、と答えて、いつものようにハグを返すと嬉しそうにすーはーと匂いを堪能している。
そのまま放置しながら、準備していた夕食の仕上げにかかる。
「洗濯物だしとけよ」「はぁい」
しばらく匂いを堪能した彼女が、がさごそと荷物を解きにかかっている。
時差があったからか、少し眼が重そうだ。このままでは夕飯を食べたらすぐに眠ってしまうだろう。

「お風呂はいりましょう?」
誘いの声にキスをして返す。するりするりと服をはがしてしまえば、久しぶりに堪能する柔らかな身体が現れる。磨いた甲斐があって、人前に出しても遜色ない、髪と肌の艶。まるで人形を愛玩する趣味ではないが、どちらかというと彼女よりも千秋の方が、ケアをするのに熱心かもしれない。シンクの汚れを取ったり、綺麗に洗濯をするのに似ている気がする。最近のカメラは画質が恐ろしく良いのだ。テレビの画面では、アナウンサーの見たくもない毛穴さえ見える。そう、彼女も磨きがいがあるというもの。
丁寧に髪を洗い、保湿のためにオイルを少しばかり塗りこんでやって、そして湯船に身体をうずめる。
あたたかでやわらかな肢体が千秋にまとわり付いて、そして彼女はうっとりと瞳を閉じた。
普段であれば、ああでもないこうでもない、とうるさいくらいに話してくる彼女が
どういうわけか、今日は神妙にしている。こういうときは決まって、きっと眠いだけだ。
静かなことをいいことに、唇を寄せる。旋毛にも、耳にも、背中にも。
自分の中の黒い嫉妬はどこかにおいて、蓋をして。この感情は自らの糧にするのだ。自らの音楽への糧に。
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by kanae-r | 2016-11-19 20:50 | ss>nodame | Comments(0)