当ブログsoireeは管理人kanaeによる雑多な二次創作を扱っております。苦手な方等はご容赦ください。


by kanae
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virgo






腹に熱さを感じた時には、しまった、と思ったが、もう遅かった。






経済活動を助長する法令が軒並み発行された、とある夏のことだった。



王朝の黎明期、
国の土地区画の必要最低限の整備が終わると、概して軍の機能というものは、
街の警護の機能だけとなる。


国内の主要道路に於ける、必要最低限の整備と、
河川の整備が終わる見通しが数年後にはつきそうだ、ということがわかった夏、
浩瀚はいよいよ、という想いを持った。

各王朝が成し遂げることが出来なかった、様々な課題。
最低限の水準としての、国の礎が出来た所で、
これからの国をどういった方向性に伸ばしていくのか、
歴代各王朝と比較したとき、如実に結果が異なる、と言われている
次の10年が始まるのだ、と感じた。

冢宰として、有難い経験だ、ということを痛感するとともに、今上の主上の想い描く図を、今一度話し合うことが必要である、という認識は、彼の麒麟や大師とも合致した。



見聞を拡げることが好きな主上と打って変わって、
彼の麒麟は、余り、膝元から離れることはしない。
それはつまり、麒麟は国民性をあらわす、と言われている中で、彼の理解が得がたいこと、というものは、
概して国民の理解が得られないことである、と主上がのたまって、
景麒の見聞を広める、と慨し、このところ、
台輔と主上の国内視察並びに海外視察が念入りに実施された。
そしてその中で、官吏の随行も多く実施されるだけでなく、視察のみならず現地での研修と称して
若い官吏は他国の宮城にお世話になり、
さらに官吏だけではなく、交換留学とのたまった、允許交換制度として、
慶の大学生は他国へと赴き、技術を持った若者達も、市井の技術工として、現場に技術を学びに行った。
慶国の他国視察、は慶国のみならず、十二国にとって有名なものとなったし、
逆に、国内の技術を他国にもらさぬよう、相手国にとっての多少なりとも
危惧を覚えさせる結果を招いたりもした。


とある国府部署の研修が、実際には打工と変わらぬ、肉体労働でしかなかった、という実態の報告が上げられてきた時、なる程なぁ、と灌漑深げに陽子は唸った。
「何が、成程でしょう」
「財と為す考え方として、芸術や土木技術その物を、財と考えているという認識だよ。個人的には12国全体の経済発展を考えていたけれども、前提として交渉材料であることを、各国認識している、ということだ」
うん、と陽子は唸る。
「うちの国は、人材、人と為りということにしよう」



その言葉の通り、少学の技術の向上、と題して、
教師達への研修が春官府の取り組みとして始まった。
「どんな仕事にも誇りと技術が有る、しかし選択肢は多いほうが、個性が伸びて良いではないか」

かつて、家や土地、という考え方に則り、
戸籍の無い家系は、代々将来の選択肢を与えられなかった。
とある赤楽朝の夏、奴隷制度の実質廃止、として、戸籍の完全登録と、そして人民に対する教育の義務が課せられる。
慶国籍の国民は、全て、戸籍の申請が義務付けられ、
そして違反した場合に厳しい経済的罰則が課せられた。

これにより、各州において、
浮民を利用した、不当な労働力に於ける不当な利益を搾取していた者たちが、排除され
健全な経済活動が執り行われる前提となった。
この法令により、実質的に開放された奴隷は数十万人に及ぶとも言われる。

続いて、田の貸与と転用に関する規制が緩和された。
身分の序列が曖昧になると、商人と小作人というように職業上の専門が生まれ
雇用が発生した。
田の貸与についての規制が緩和されると、
地域により大規模な農業の発展と、田の転用が進む、商業的都市としての役割を持つ地域とが明確に分断された。
田の転用に関しての義務として、
国に対する最低農産物提出拠出が義務付けられ、それは国内の需給状況に応じた税の一部として、
各州に設定された。

こうした、土地と労働に関する制度改革によって、
各地で豪商・豪農と呼ばれていた利権者たちは、一部で力を失ったし、一部で更に力を強化した。

それをざっくりと、様子見していた夏の頃だった。




陽子は思わず、倒れこんだが、
それは影の中にいる使令が、陽子をどう・と押し倒し
その勢いのまま、牙で反逆者の首を裂いたからだった。

かんざくような、女官の悲鳴が上がった内裏の中で、
陽子は水寓刀に手を掛け、立ち上がった。

「お前、夏官府のもの、だな」

応えは既に無い。

喉を食い破られ、息がひゅう、ひゅう、と鳴っている男を見、
殺すな、と影の中へ陽子は指示した。

頭の中で、ざっと勢力図を思い起こせば、
下界のやくざから上納金を受け取っている、という噂の、とある州候が浮かぶ。
尻尾を出さない特定の者を、離反させるきっかけを探していたので
ちょうどいい、と陽子は笑った。

その、腹を刺されて笑う主の姿を見、
命を終えようとしている、男は、勝てない戦であったことを、そしてその掌でおどっていたことを知る。


主上、と低い声が、珍しく焦ったように駆けつけている気配を感じ、
そのまま男は意識を失った。
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by kanae-r | 2014-09-14 21:11 | Zodiac >12 | Comments(0)