当ブログsoireeは管理人kanaeによる雑多な二次創作を扱っております。苦手な方等はご容赦ください。


by kanae
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第二十五夜 黎明の煙突





昨晩の黎明のことでした。芝草から離れたとある州城でした。
そこは大都市でしたが、まだどの煙突からも煙はでていません。冬のことですから、朝が来れば、もうもうと家々の活動が見えてくるのが、その街の冬の名物でもありました。

朝陽が昇ってくる前の、黎明のことでしたから、空に金色の光が一陣駆け抜けたのには、誰も気付きません。


突然そのうちの一つから小さな頭が姿をのぞかせました。それから体が半分、両腕を煙突のへりのところにもたれかからせています。
それは煙突掃除の子供でした。煙突にもぐりこんで、てっぺんから頭をのぞかせたわけです。
「わぁ」
それはその子供が―子供は浮民でした―、はじめて煙突のてっぺんまで、登ることができた喜びの声でした。
「すごいぞ」
えぇ、確かに暗く狭い煙突にもぐりこむのはいままで体験したことのない出来事でした。ふきぬける風は新鮮で、緑の森まで街全体をみわたすことができました。ちょうど太陽がのぼってきます。朝日がその子の満面をてらします。顔はとてもかわいらしい具合にすすけてましたが、なんとほこらしげだったことでしょう。
「まち全部がぼくのことをみてるぞ」その子はさけび、「お月さまも、お日さまもだ。やった、やった」ほこらしさのあまり、ほうきをふりあげました。

そしてその目の前に、きらきらとした金の光が見えたことに、目を見開きました。きらきらと光るものを見る瞳も、またきらきらとしています。
浮民のこどもですから、里廟に行くことなどありませんけれども、この十二国に生まれたこどもですから
その金色の光が意味することを十分に理解しています。

実は金色の光をなびかせているもの―それは獣型は雌黄の毛並みに五色の背、金の鬣の獣でした。角はありません―それも、獣でしたが、角がないことからわかるように、子供なのでした。
山を奔放に駆け黄海を飛び回って妖魔を遊びのように折伏しながら暮らしているその獣は、徐々に子供の姿をとれるようになっていましたが、それでも、完全に子供の姿はとれません。
言葉を話せるようになって、どこか強い妖魔を折伏するために、空をとんでいたのですが
ふと気が向いて、生国までやってきたのでした。

「わぁ」
その金色の獣も、かわいらしい叫び声をあげました。
「すごいぞ」
えぇ、確かに遠く海を越えて、五山から遠く離れたのは、かつて体験したことのない出来事でした。とてもおなかがすいていましたが、それも気にならないくらい、ふきぬける風は新鮮で、緑の森まで街全体をみわたすことができました。ちょうど太陽がのぼってきます。朝日がその子どもの満面をてらします。額には黄味のかかった真珠色の枝分かれした角がこれからはえてくるので、そうなったらまた光を受けて綺麗なのですが、本人はまだしりません。馬のような真珠色の蹄を持ち、複雑な光沢の長い尾は付け根が細くて馬とは異なり、牛のそれよりも長毛が豊かです。
長いたびの疲れで、とてもかわいらしい具合につかれてみえましたが、なんとほこらしげだったことでしょう。
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by kanae-r | 2014-10-19 14:42 | 絵のない絵本 >12 | Comments(0)