当ブログsoireeは管理人kanaeによる雑多な二次創作を扱っております。苦手な方等はご容赦ください。


by kanae
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第十三夜 コウノトリがはこんできたもの

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とある交州港街に一軒の舎館がありました。
框窓は背が低いもので、窓のいくつかは高いところについていますが、他の窓は低いところについています。山査子が低い框窓の周りに生い茂っていました。
舎館の屋根にはいつのまにか、月日がたって、黄色い花と万代草が育っていました。
院子で栽培されているのは甘藍と馬鈴薯だけですが、舎館のまわりの生垣の向こうには柳の木が一本ありました。柳の木の下にはこどもが一人座りこみ、そのこどもの目は舎館のとなりにある古い樫の木をみつめています。

樫の木の幹はすっかりやつれていて、上の方は切られ、鸛がそこに巣をつくっていました。鸛は巣にいて、くちばしをガタガタいわせています。少年が一人やってきて、こどもの脇に立ちました。二人は兄と弟でした。

「何をみてるんだい?」兄がたずねます。
「鸛を見てる」弟はそう答えると「おつきさまはぼくに、今日鸛が小さな弟か妹を連れてきてくれるっていったんだ」と続けました。
「鸛はそんなものは運んでこないぞ」兄は胸をはっていいます。
「おまえは信じてるかもしれないけどね。おつきさまは僕にも同じことをいったんだ。でも僕はまえに里木に生る、子どもが入った黄色い果実のはなしをきいたことがあったし。親が里木に帯を結んで祈ると実り、十月十日で熟して親でないともぐことができないんだって。鸛の話はホントじゃないってわかったよ。子供を喜ばせるためにいってるんだ」
「じゃあいったい赤ちゃんはどこからくるの?」弟は聞きました。
「送子玄君が里木に卵果を連れて来るんだよ。でもだれも送子玄君を見ることはできないから、いつ連れてきてくれるのかは分からないんだ」
そのとき柳の木の枝がざわめきました。子供たちはお互いの手をにぎりしめ、みつめあいました。もしかしたら送子玄君が小さな弟か妹をつれてきたのかもしれないし、鸛がそうしたのかもしれません。

夜半もだいぶ過ぎて、舎館の中は父と母と卵果を中心にざわざわしていましたから、
二人をみまもっているのは、中天のおつきさまだけです。

二人は少し不安になって、たがいの手をとり、そのとき框窓から、兄弟の父親が顔をだしました。
「二人ともおいで、妹だ」
子供たちは真剣な顔でお互いにうなずきました。というのは、二人とも赤んぼうがきたのがはっきりわかっていたからです。
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by kanae-r | 2014-10-15 09:04 | 絵のない絵本 >12 | Comments(0)