依依恋恋
2015年 02月 05日
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ようするに、二人とも、失ったものが多すぎたのだと思う。
愛する家族・友人・大事な仲間・相棒・心を許した相手。
失ったものは戻ってくることは無く、遠い過去にある。
それでも過去に戻ることは出来ず、戻る気もさらさら無かった。
傷ついた時、心を癒すには、深い沼にどこまでも沈んでいくのが良い、と朱は思っている。
深い沼に沈み、思考の中で、思慮に囚われる。何かふとした瞬間に、目に入るもの。嘗ての思い出、記憶、感覚、感情。何かの折に、過去へ繋がる糸を手繰り、つまみ、布を織るように、記憶を整理する。
それはあくまでも一人で行う作業であり、誰かと分け合う作業ではない。
「それって、容量オーバーにならない?」
色相の曇らない朱に、サイコパスと心は違うのよ、と言い切った志恩は、
適当なタイミングで、朱に声を掛けて、朱の話を聞く。
「そうでしょうか」
「そういうのはね、どこかで吐き出したり、溜めていたものを出して、きれいにしたほうがいいのよ。適度な運動、とか、汗や涙、とかね」
彼女が意味深に笑ったので、からかうのはやめてください、と朱は頭を振った。
感情を一切そぎ落としたような横顔が、余りにも寂しそうだったので、
今聞いた話を踏まえて、宜野座は言葉を選んだ。
「ダイムを貸そうか」
その提案に、朱が深い鳶色の瞳をぱちくり、と瞬かせた。
傷ついた時、心を癒すには、誰かと共に時間を分け合うことが一番だと、宜野座は思っている。
それは彼の愛犬にしかり・生物であることが一番だ。コミュニケーションを交わせる、それこそ犬でもいい。
一番いいのは、言葉と交わせる人間。そしてその心情の背景を理解し、共感できる相手。
共感できる―つまりは、同様の経験がある人間など。
「ええと、」
朱は言葉を選んだ。
「お言葉に、甘えます」
ようするに、二人とも、失ったものが多すぎたのだと思う。
愛する家族・友人・大事な仲間・相棒・心を許した相手。
失ったものは戻ってくることは無く、遠い過去にある。
それでも過去に戻ることは出来ず、戻る気もさらさら無かった。
傷ついた時、心を癒すには、深い沼にどこまでも沈んでいくのが良い、と朱は思っている。
深い沼に沈み、思考の中で、思慮に囚われる。何かふとした瞬間に、目に入るもの。嘗ての思い出、記憶、感覚、感情。何かの折に、過去へ繋がる糸を手繰り、つまみ、布を織るように、記憶を整理する。
それはあくまでも一人で行う作業であり、誰かと分け合う作業ではない。
「それって、容量オーバーにならない?」
色相の曇らない朱に、サイコパスと心は違うのよ、と言い切った志恩は、
適当なタイミングで、朱に声を掛けて、朱の話を聞く。
「そうでしょうか」
「そういうのはね、どこかで吐き出したり、溜めていたものを出して、きれいにしたほうがいいのよ。適度な運動、とか、汗や涙、とかね」
彼女が意味深に笑ったので、からかうのはやめてください、と朱は頭を振った。
感情を一切そぎ落としたような横顔が、余りにも寂しそうだったので、
今聞いた話を踏まえて、宜野座は言葉を選んだ。
「ダイムを貸そうか」
その提案に、朱が深い鳶色の瞳をぱちくり、と瞬かせた。
傷ついた時、心を癒すには、誰かと共に時間を分け合うことが一番だと、宜野座は思っている。
それは彼の愛犬にしかり・生物であることが一番だ。コミュニケーションを交わせる、それこそ犬でもいい。
一番いいのは、言葉と交わせる人間。そしてその心情の背景を理解し、共感できる相手。
共感できる―つまりは、同様の経験がある人間など。
「ええと、」
朱は言葉を選んだ。
「お言葉に、甘えます」
by kanae-r
| 2015-02-05 21:02
| Psycho-Pass