当ブログsoireeは管理人kanaeによる雑多な二次創作を扱っております。苦手な方等はご容赦ください。


by kanae
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サンクトペテルブルク、6月

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あっという間に一月がたってしまった。それに、びっくりするくらい充実していたと思う。
なんどもなんどもすり合わせを重ねた上で、ヴィクトルの振付が完成して、リンクを借りるついでに名門のヤコフコーチにも自らの指導をしてもらい、ついでに紹介してもらって有名なリリアバラノフスカヤにも指導してもらえた。日本では考えられない好待遇だった。ほんとに、煩雑な手続きに辟易したけど、はるばる来た甲斐があったかもしれない。
プライベートも充実していた。彼こリンクメイトでも年長のギオルギーポポーヴィッチがいろいろと気を使ってくれて案内をしてくれたし、フラットも居心地がよかった。マッカチンはスマートで心の優しい子だったし、疲れた時には勇利に寄り添い、気持ちを分かってくれた。何よりそのふわふわが堪らなかった。

そう、ヴィクトルとマッカチンが、勇利のフラットに転がり込むようにほとんど居候していたのだった。彼をわざわざ送り返そうにも年下を無下にする罪悪感からか至らず、彼と一緒にデリで食べ物を買ってきたり、うとうと寝落ちするのをベッドまで運んでやったりした。
デトロイトで学生の頃、ルームメイトと暮らしたこともあったので、何となく誰かと暮らすことには抵抗がなかったけれど、欧州の人間だからか、彼はとにかくパーソナルスペースを最後まで守らなかった。キスもハグも、ここまで毎日するものなのか?恋人や家族でもないのに?彼は勇利をフラットメイトではなく家族だと思ってるのだろうか。寂しいのかな?
おはようからおやすみまで、キスも、ハグも、勇利はだれかとそこまで親密になんども回数を重ねた訳ではないけれど、ヴィクトルが勇利に与えるそれは、何だかすごくしっくりきた。
驚くべきことに、僕はそれでも幸せを、感じていた。

勇利は自分が多少狂っていることを感じる。小さい頃からの金色とスケートへの固執、追い求めている影。スケートの神さま。そして、何かの折に感じる望愁。
朝起きてすぐ、隣で眠る銀色の髪に(彼と同じベッドで寝る意味が最後まで勇利には分からなかった!)、おはよう、ヴィーチェニカ、とキスを落としたくなる。彼よりも早く起きた時、彼がぐっすり眠っていることを確認して。キスを落とすと清潔なシャンプーの香りがした。そう、ヴィーチェニカとは、ヴィクトルと、愛称なのだ。つまりmy Витенькаとは、恋人か子どもかに対しての愛称だ。

空港で別れる時、大好きだよ。ユウリ、ありがと。彼はそう言ってユウリに抱きついた。はいはい、と適当に返すとヴィクトルはぐりぐりと頭を押し付けてくる。彼もいい大人だろうに。
ヴィクトル、楽しかったよ。そう言うと、ヴィクトルは弾かれたように僕の顔を見て、俺良いライフのコーチだったでしょう?と笑った。きらきらと瞳がまたたいていた。




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by kanae-r | 2017-01-22 14:04 | YURI ON ICE | Comments(0)