当ブログsoireeは管理人kanaeによる雑多な二次創作を扱っております。苦手な方等はご容赦ください。


by kanae
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福岡、12月

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ちょっとだけ飲もうよ、と誘ったヴィクトルに、困ったようにユウリは笑った。じゃあちょっとだけね、彼がつぶやく。バンケットをそうそうに一人で抜け出そうとしたユウリを捕まえた自分を褒めてやりたい。ヴィクトルはそのまま、ユウリの部屋番号を聞き出すと、後で行くから!と叫んだ。彼は困ったようにひらりと手を振った。

フクオカからハセツは近い。終わったらちょっとだけハセツに寄りたい。

ヴィクトルがユウリの部屋をノックすると、彼は既に軽くシャワーを浴びていたらしい。バンケットの時アップになっていた髪の毛はおろされていて、彼がいい年齢の男性とは思えなかった。着心地の良さそうなスウェット、カーディガン。ヴィクトルを認めてふわりと微笑んだのが可愛いらしい。

ユウリは部屋に備え付けの冷蔵庫を開けて、どうする?とヴィクトルに聞いてきた。コロナを二本取って、開栓する。それ?とユウリがくつくつ笑った。以前俺にとっては水みたいなもんだ、と愚痴を言っていたのを思い出したらしい。

そういえばね、ヴィクトル、僕は今シーズンで競技の舞台から降りるよ。
今回のグランプリファイナルも金色は彼のものだった。俺は少しだけ目を見開いて、勝ち逃げ?と睨みつけてやったら、ユウリはからからと笑った。
まだ世界選手権があるじゃない。僕から金を奪ってみせなよ、と笑う。当たり前じゃないか。俺はずっと金色が欲しかった。ユーロやナショナルで勝てても、分厚い日本の壁があって、俺は毎回死ぬほど悔しい想いをする。彼の経歴を考えれば、引退に何も言えなかった。スウェットから伸びた裸足の足が目に入る。爪は何度も割れ、欠け、剥がれ、肉刺が何度も潰れたあと、内出血が治らず変色したようなあと。決して綺麗とは言えないけれど、美しいステップを踏む足。

コロナを一本空にして、ユウリは僕はもう寝るよ、と欠伸を噛み殺した。俺も一緒に寝たい、とお願いすると、いつものようにあきれたように溜息をついて(俺がわがままをいったら折れないことを知ってるからだ)じゃあ使ってないからバスローブそこにあるから、と拒否はされなかった。シャワーを借りている間にユウリは先に寝てしまったらしい。
ユウリ、寝ちゃった?問えばもごもごと彼は答えた。ユウリ、約束するよ、世界選手権で金を取って、俺はLoveを証明するからね。
うん、と彼は確かに返事をした。
満足して俺はもぞもぞと彼の隣に潜り込む。
彼からコロンのトップノートがする。ペーテルのフラットでは当たり前だったのに。おやすみ俺のユーラチカ。ユウリがぐっすり寝ている時だけこうして俺は彼の黒い髪にキスをするのだ。…おやすみ僕のヴィーチェニカ。もごもごとそんな言葉が聞こえてきた気がするのは夢だろうか。現実だったのだろうか。





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by kanae-r | 2017-01-22 15:33 | YURI ON ICE | Comments(0)