当ブログsoireeは管理人kanaeによる雑多な二次創作を扱っております。苦手な方等はご容赦ください。


by kanae
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

バンクーバー、3月

>





ユウリとは空港で別れることになっていた。今の彼は世界中を飛び回るプロのスケーターでもあるから、今年も世界選手権で金色を手に入れた俺とも、何度かアイスショーの会場を同じくする筈だ。まだちゃんと先のスケジュールを確認してはないけど。
彼は今積極的にスポンサー関係の広告の仕事もしているし、俺のスマートフォンの中には彼の沢山の写真や動画のデータが入っている。ユウリのエージェントとは仲良しなので、日本限定のコマーシャルだって手に入れられるのだ。ユウリには内緒だけど。
今シーズン、彼のショーでの動画をさらうと、彼は自由に滑っていた。近くにいて欲しいけれど、こうしてみるとやはり彼は氷の上こそ輝くのだと痛感する。
かつてオオサカのリンクで見たとおり、ユウリは深い海を自由に泳ぎ、高い空を自由に飛ぶように氷の上で滑った。ユウリの年齢を考えなければ、引退ははやすぎたのでは、という下世話な報道にも納得できる。どれもこれも年齢不詳のベビーフェイスと化け物並みの体力と彼自身の努力の賜物だと思うんだけど。

ユウリはおれの視線に気付いてにっこりと笑った。搭乗口への促す空港のアナウンスが聞こえる。美しい指先で俺の頬にかかった髪の毛を耳にかけてくれた。ヴィクトル、と彼は歌うように言った。
君は何か悩んでいる?
ユウリにはなんでもお見通しだった。俺の後進には優秀な後輩が沢山いたし、ようやっと引退した日本の分厚い壁がなくなったがために大会はいつも大混戦で、大盛り上がりだった。ユウリ、また次の冬も俺にプログラムを作ってくれる?
ユウリは泳ぐように身体をしなやかに伸ばして、ダー、と俺をハグしてくれた。氷上で追いかける人がいなくなって、自分が一番になったら、あとは自分との戦いなんだ、と改めて気付かされた。






[PR]
by kanae-r | 2017-01-23 03:36 | YURI ON ICE | Comments(0)