当ブログsoireeは管理人kanaeによる雑多な二次創作を扱っております。苦手な方等はご容赦ください。


by kanae
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長谷津、8月

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長谷津は時間が止まってるのかと勇利は思う。
東京も上海もバンコクも、アジアの都市は毎年訪れるたびにその姿を変える。高層ビル群がにょきにょきと伸び、古い建物は壊される。

練習を終えて館内着でごろごろしていたヴィクトルを、海へ誘った。

彼はもう、国内でも大会でも後進に追われる立場だった。技術的にも精神的にも円熟したものがあり、後は大会に向けて精神と肉体を調整していくだけだ。若い頃のようにがむしゃらに練習するよりも、しっかりと身体と対話しながら前に進んだ方がいい。
長谷津でヴィクトルは、鳥が羽根をのばすように、ゆっくりゆっくりプログラムを深めさせていった。

オボン?聞きなれない単語に、簡単に概要を説明してやるとしんみりした表情になった。西の浜では思ったよりも多くの人が船に火を焚いていた。小さな子供たちは花火をしている。
彼が想像していた雰囲気と違っていたのか、勇利が飾りを燃やすために準備をする手先を見ている。なんだかサミシイね、覚えたての日本語でヴィクトルは呟いた。だってせっかくもどってきてくれたなら、ずっとそばにいてくれればいいのにね。

勇利が宥めるように手を握ってやれば、ヴィクトルはぐずぐずと鼻を鳴らした。




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by kanae-r | 2017-01-23 04:44 | YURI ON ICE | Comments(0)