当ブログsoireeは管理人kanaeによる雑多な二次創作を扱っております。苦手な方等はご容赦ください。


by kanae
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ピーテル、3月

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俺の世界選手権が終わった。ユウリが俺に作ったプログラムは五連覇がかかった王者にぴったりのもので、壮大でダイナミックでロマンがあった。ユウリはこの頃振付師だけでなく作曲とか演出とか衣装とかにも手を馴染めていたから、ユウリのアドバイス一つで手の動き一つに言葉が乗り感情を語れるようになったのも事実だった。
ハセツで踊りこんでいたときに、ユウリのほうがうまく表現できるんじゃないの?と悔し紛れに言ったら、彼はひどくまじめな顔をして、これは僕のものではない、これは君のものだ、と小さくつぶやいた。
彼はもうヴィクトルのサブコーチではなかったけれど、関係者としてキスアンドクライから出たヴィクトルにハグをしてくれたし、二日間彼と同じ部屋で温もりを分け合うだけで、十分な質の睡眠とリラックスを得られた。

ユウリに金メダルを見せてやって、キスしていいよ!と笑うと、彼は笑って、俺の金色のメダルにキスをした。ユウリの愛を感じたよ、とハグをすると、ユウリは、そっか、とほっとしたように笑った。ブラックオニキスのように、黒い夜色の瞳に、水のまくが少し張っているようだった。優しく笑うこの年上の恋人に、俺はいつだって勝てる気がしない。彼は俺を大いなる愛で包んでくれる。でもねぇ、ユウリ、いい加減あきらめなよ。俺のLoveはそれだけじゃなくて、お願いだからすべてを受け入れてよ。キスをしようとするとユウリは掌で俺を押し返して、やんわりと距離をおいた。僕は君には幸せになって欲しいんだよ。女の子と結婚して、子どもを持つ、あたりまえの幸せをね。
せっかく金色をプレゼントしたのに、ヴィクトルは悔しくなって彼の首筋に噛み付いた。ユウリはちょっと!と声をあらげて怒ったけど、これは本気では怒ってないのを知っている。ユウリがそんなんだと、俺はいつまでも引退出来ないよ。君は氷の上から降りた俺には興味がないんだろう?ユウリはなにも答えなかった。でもこまったような顔の、その瞳の奥底には、かつて彼が金に固執していた時のような、どす黒い、欲深い色の炎が奥底に燃えている気がして、俺は内心歓喜する。ユウリは欲張りなのをヴィクトルは知っていた。さあね、となんでも無い風にユウリはヴィクトルに返事をして、世界選手権六連覇でもしてさっさと引退しちゃいなよ、となんでも無い風に言い放った。



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by kanae-r | 2017-01-23 06:18 | YURI ON ICE | Comments(0)