当ブログsoireeは管理人kanaeによる雑多な二次創作を扱っております。苦手な方等はご容赦ください。


by kanae
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バンクーバー、11月








ユーリプリセツキーは可愛い子猫ちゃんだった。見た目は可愛い妖精なのに、中身はまるで子供のようにやんちゃで噛み付いてくる。振り付けしろ!とねだられたから振付けたのに、あーでもないこーでもない、とヴィクトルにちょっかいをだしたり管を巻いたりする。
彼のグランプリシリーズ第二戦はカナダのトロントだった。ユーリはリンクのスタッフと一緒にトロント入りするので、ヴィクトルは彼よりも早めにロシアを出て、愛する人の待つバンクーバーへ向かう。

ただいま、と玄関でドアが開く音がした。郊外の小さな家、秋から冬に向かうところ。北米の秋は本当に美しいとヴィクトルは思う。大きな手のような葉っぱが金色になって川沿いにひらりと落ちる。美しいところだ。ここにずっといたい。ヴィクトルは聞きなれた声に嬉しくなって、おかえり!と玄関でマフラーを取ろうとしていたユウリに飛びついた。迎えにいけなくて、ごめんね?家まで道は大丈夫だった?それもそうだ、もうすぐグランプリシリーズの二戦目だもの。彼の生徒の最後の仕上げの真っ最中だ。俺の大好きなユウリの匂い。秋の冷たい風の匂いと混ざって、なんとも切ない気持ちになる。

「君のユーリはいつくるの?」
「俺はコーチじゃないから一緒じゃなくてもいいんだって。トロント入りしたユーリの調子を見て、ファイナルまでに直すところがあれば直すだけ」
「もうファイナルに行く気でいる」
ふふ、とユウリが笑った。時間が無いからデリで買ってきたのだ、という料理を温めなおして、テーブルに並べてくれている。こうした時間が嬉しい。離れがたくて腰に手を回したまま、彼のつむじにキスをした。
僕、あぶない?毛髪をきにするユウリにヴィクトルはそうかもね、と笑って返した。俺も彼もいい年齢だ。いい大人。いい大人が、こんなに骨抜きになってしまって。
今の時期はサーモンだよ、やっぱり、とユウリは上品にナイフとフォークを使って魚を口に運んだ。いつみても彼はかっこいい。久しぶりのユウリにヴィクトルはすっかり見とれてしまって、ユウリがほら、食べてみなよ、とヴィクトルの口に食べ物を押し込むまで、溜息が止まらなかった。
君の生徒はうらやましいね!毎日ユウリと居られるんだから・・・ヴィクトルはまだまだロシアから離れられそうになかった。国に生活を保障され競技を続けるとはこういうことだ。ヴィクトルの命題は目下のところ、もうひとりのユーリを優勝させることだし、それ以上も以下も無い。

「バンクーバーの秋は素敵だね。大好きだよ」
ここでくらしたいなぁ、大きなマグに温かい紅茶とウィスキーを入れて、ユウリと一緒にウッドデッキに椅子を出して空を見ている。ユウリは天体にも詳しい。ああでもないこうでもない、と星星の話を聞きながら、ぽつりと望みを口に出すと、ヴィクトルが望むなら、いつでも。ユウリが笑って答えた。ヴィクトルは嬉しくなった。
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by kanae-r | 2017-01-24 06:40 | YURI ON ICE | Comments(0)