当ブログsoireeは管理人kanaeによる雑多な二次創作を扱っております。苦手な方等はご容赦ください。


by kanae
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バンクーバー、6月

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勇利は彼の生徒からの質問に曖昧に笑って答えた。
「日本ではマリッジリングは左手だよ」
彼ははっと青くなって失礼しました、と律儀に誤った。きっと滞在中のユーリプリセツキーの影響だ。
きっとロシアでは指輪は右手だとか、なんだかティーンらしい話題で盛り上がっていたらしい。たしかにデトロイトではピチットチュラノンとガールフレンドについての話もした。そういう年頃なのだ。


ヴィクトルにその日、彼のユーリプリセツキーのことについてメールしてやる。ユーリプリセツキーは一週間リンクの主催するサマーキャンプのシニアクラスに参加していた。友人とカナダで遊ぶきっかけを探していたらしい。ロシアと比べて、カナダは自然が豊かでアクティブなレジャーも沢山あった。

偶然リンクサイドで一緒にいるところを見かけて、可愛らしくて写真を撮った。
勇利の生徒とユーリが二人並んで歩いているところも見かけて、ひたすらにユーリが話しかけて生徒は無言でうなずいていたり、ときたままじめに返事をしていた。反りがあわなそうで、正反対だからこそお互い居心地が良いのであろう。勇利はこっそり、二人の写真を後ろから撮った。

あとでヴィクトルに送ってあげよう。
ユウリが彼の生徒たちが愛らしいように、ヴィクトルも彼の生徒が愛しいはずだ。


サマーキャンプが終わったあと、勇利は生徒とオタワでスポンサー回りをするスケジュールを組んだ。彼がこれから拠点を祖国に戻しても応援してくれるという理解者は、この先も彼の助けになるはずだ。
フライトの前にレストランで食事をしている時のことだった。

あの。答えにくければ答えなくて良いのですが。
その人のことをまだ愛してるんですか?真面目な顔をしてそう言う。マリッジリングのくだりを思い出した。彼はちょっと勘違いしているかもしれない。死別したとか。
「…そうだね」
嘘は言ってない。誰から聞いた?勇利の目が冷めたのが分かったらしい。誰からか聞いた訳じゃなく、考えたんです。そこにある物が、どんな愛なのかわからないけれど、キャンプの時に、ユーリと俺は、ヴィクトルコーチとカツキコーチに幸せになって欲しいと話していました。二人がそれぞれ寂しそうで、でもお互い似ていて、惹かれあっているのに、いっそのこと二人がくっつけばいいという提案にその通りだと思いまして。

OH…この子達は盛大な勘違いをしている上に、余計な世話まで焼き出した。明らかに溜息を吐いた勇利に生徒は慌てて謝罪をした。すみません余計な事を?余計な事を考える前にスケートに集中しなさい、ぴしゃりと告げると、申し訳ありません、と真面目に答えた。真面目すぎて何処かずれている気がする。彼はあと一言だけ言いたそうな顔をする。

愛についてのプログラムだから愛について考えていたんです、と。彼は真面目だ。逃げない。真面目な瞳の色に、勇利はたじろいでしまった。

勇利の生徒は竹で割ったような性格をしていた。イエスかノー、やるかやらないか、だからこそ彼はきっと白か黒かを知りたいんだろう。
僕は白も黒も曖昧にしていたから、彼の納得いく答えは与えられないかもしれない。グレーの色でも形にしなくても、あえて怖くてしてこなかったのかもしれない。

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by kanae-r | 2017-01-24 16:42 | YURI ON ICE | Comments(0)