ケベックシティ、3月
2017年 01月 25日
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ユーリプリセツキーがぽろぽろと涙をこぼしているのを、ヴィクトルが声をかけているようだった。FSのあとだ。いい滑走ができた嬉し泣きだと思ったら、どうやら違うようだった。オタベックが勇利に説明した。彼らは友人同士だから。今年のシーズンが始まる前から決まっているようだったが、ヴィクトルは今季で彼のスケートクラブとの契約を解約して別の所へ移籍するらしい、と。ユーリが望むなら振付はまたしてもらえるそうだったが、コーチとして離れずにそばにいてほしいのだ、とユーリは願っていたという。だから、彼がその決断を一生後悔するような、いい演技をして、コーチの決意を変えてやろうと意気込んでいた、とも。
勇利はそう、と返事をして、遠くの師弟を見つめた。師弟は特別な絆だ結ばれるものだ。ヴィクトルが望むようにしたら良い、と勇利は思う。彼らの競技人生は短い。今後悔したら、きっと取り返す事はできないから、その瞬間瞬間を後悔しないように。
by kanae-r
| 2017-01-25 01:04
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