当ブログsoireeは管理人kanaeによる雑多な二次創作を扱っております。苦手な方等はご容赦ください。


by kanae
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バンクーバー、9月

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一瞬の秋だった。
家の周りには黄金色の葉っぱがたくさん落ちて、川面がきらきらとかがやいて、本当に美しい朝だった。ヴィクトルと毎日のように散歩をした。日々色づく木々をながめて、木の実をみつけたり、まいにちなにか新しい発見をして、朝が来るのが楽しみだった。

散歩のあとはたっぷりの紅茶とジャムとパンと卵とベーコンとスープがまっている。ふたりとももうそこまで量は食べないから、いろんな味を楽しめるように、ふたりですこしずついろんなものをわけあう。新作のジャムのあじはどう?と美しい空色の瞳がわらう。笑うと目じりにかわいらしいしわがうまれて、勇利にはそれが愛おしくて仕方ない。

勇利はヴィクトルよりも早く家を出る。車は二台あるから、彼はノービスの子供達のクラスに合わせて後から家を出る。
オフィスでメールの返信を済ませて、ランチからのミーティングのための準備をする。午前はシニアクラスの方に顔を出すことになっていた。シニアクラスのコーチが勇利のオフィスに顔を出す。いくつか練習内容の確認と、それぞれの選手が参加する大会についての確認をする。

朝一番のリンクにはカザフスタン出身のシニアクラスの生徒が滑走していた。
勇利は彼に対して過剰には近づかない。彼は孤独であればあるほど強くなるタイプの人間だった。彼を観察して、言葉を選んで必要最小限を伝える。一から十までを伝えると逆効果なのだ。彼はきっかけさえあれば、自分で考える。むしろ、自分で考え納得しないとまえに進めない頑固さを持っている。

勇利を認めて彼がリンクサイドにやってくる。勇利がいくつか指摘をやると、彼はうなづいてまた滑り出す。
まもなくシーズンインだ。ぴりぴりとした緊張感が生まれはじめている。いい調子だ。

ランチはケータリングだった。頭を悩ませながら食べても何の味もしないので勇利はあまり好きではない。

午後出かけしなにリンクをのぞくと黒いタートルネックを着たパートナーが子供たちに囲まれている。彼はこちらには気づかない。勇利は彼がこどもに手取り足取りやっているのをみて、心がほっこりした。車を取りに行くために外へ出る。
木々が黄色く色付いている。

秋だ。秋。一瞬の秋。
毎日が愛おしく、当たり前が愛おしい。今週末から彼はユーリプリセツキーのためにロシアへ飛ぶから、いくつかロシアのユーリの為にお土産を持たせてやろう、と勇利は思った。


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by kanae-r | 2017-01-25 16:20 | YURI ON ICE | Comments(0)