当ブログsoireeは管理人kanaeによる雑多な二次創作を扱っております。苦手な方等はご容赦ください。


by kanae
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太西洋、4月

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ぽーん、ぽーん、遠くから音が聞こえる。意識が浮上する。少し眠っていたらしい。静かに目をあける。機内は静かだ。ごう、と空気を切り裂く低い音。太西洋の上、宇宙の下。上空三万三千フィート。

すこしはなれた隣の席を見れば窓の外を見つめる顔がある。目元が赤く、充血した瞳。
手を握ってあげたいけれど、やや遠くて届くか届かないか。
視線に気づいたのか、朝焼けの水色をした瞳が勇利に気づいた。
口角を少しあげて、手を伸ばしてくれる。そう、手を握って欲しいのは僕だった。

日付変更線をこえて明日へ向かう。バンクーバーからシャルルドゴールへの空路だった。
指先が触れ合った。氷がとけたような、まろい瞳が笑みをつくろうと目じりにしわをよせて柔らかい色をつくる。彼は眠っていないらしい。
指さきか絡んで、その冷たさにすこしさみしくなる。だきしめてほしい。

時の流れは残酷だ。いつだって別れのときがある。永遠に一瞬にいてね、そんな気持ちをこめて、指の腹で撫でてやる。ヴィクトルの唇が音もなく動く。ずっと、そばにいるよ。



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by kanae-r | 2017-01-26 08:36 | YURI ON ICE | Comments(0)