当ブログsoireeは管理人kanaeによる雑多な二次創作を扱っております。苦手な方等はご容赦ください。


by kanae
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たなばた

「あ、」

その声は喜びに満ちていた。

「星!星ですヨ先輩!」

ベランダから身を乗り出して、まっすぐその星を指差す。
人差し指の先には、煌々と輝きがあった。

「よかったですネv」

のだめが振り返って、にこりと笑う。
今日はたなばた、星がちかり、と瞬いた。



そうそう、朝はまだ晴れていた。昼頃には雲が増えてきた。夕方から土砂降りになって、一時間か二時間で止んだように思う。そして雲は晴れきることもなく、薄ぼんやりと空が見えていた。

別に千秋はたなばたという日本の行事を気にしない。
幼い頃、といっても日本に帰ってきてから数年は、従兄妹たちも小さかったことだし三善の家には竹が飾られていたような気もする。
今ではもうその行事は遠い過去で、この女が「今日はたなばたですネ!」とか言い出す前まですっかりそんなことを忘れていた。
日常生活の基本を忘れるくせに、どうしてこんなことを覚えているのか不思議だ。
不思議だ。



「たなばたは、あまのがわ、だろ」

そう、部屋の中から言ってやると、視線を元に戻しのだめは空を見上げた。

「そうですヨ、知ってますヨ」
興ざめしたと言わんばかりの口調。左足のかかとを上げて、サンダルをぶらぶらした。


「ざんねんですね、織姫と彦星は会えませんでした・・・」

歌うような口調でのだめが言う。

「また一年も待たなきゃいけないなんて、気が狂いそうです」

軽い口調だ、のだめは手すりに腕を乗せて、あごを乗せた。

「・・・・・散らし寿司、食うか?」

千秋はエプロンを外しながら、言う。
むきゃー!と喜んで駆け寄る顔は、あからさまにごはんで喜んでいた。

「やっぱり、散らし寿司は違うと思うぞ」

「いいんですヨ、食べたかったし」

フンフンと鼻歌を歌いながらのだめはキッチンへ向かう。
千秋は一度星を見て、窓を閉めた。
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by kanae-r | 2005-07-07 23:33 | ss>nodame | Comments(0)