ホスピタル・ヴァリエーション
2006年 04月 05日
目を開けたらそこに彼女が居たので、腹減った、と呟いた。
思いのほか静かなそこは病室でしかも個室だったようで(それに気づいたのは言った後だ)のだめは目をぱちくりさせていけた花を手にもって振り返っていた。
「・・りんご食べます?」
目を伏せて花瓶をのだめが置く。食う、と声を出せば自分でも驚くほどか弱い声だった。
そこの机の上には果物やらお菓子やらが積んであったが、そのかごの一つから林檎を一つ取り出してのだめは立ち去る。暫くして水の音、手にナイフを持って彼女は無表情で帰ってきた。
そこにある皿にするするとまではいかないが林檎をむいていく。柔らかな果肉に金属が切り込む音。のだめは無表情だ。
「どうぞ」
渡されたそれは器用にも二匹だけ変な形をしていた。どうも、と手を伸ばせば指先に甘い果汁が染みる。手にとったその変な形の林檎を見て、これ何?と言う。
「ウサギです」
嘘、と返して口の中に入れた。芳しい林檎の香。とげとげしい口調でのだめが返した。
「人に剥いてもらってその言い方はないでしょう?!」
そしてのだめは下を向いた。ごめんな、と小さく言った。
けれどそこは個室だからしっかりのだめの耳にはとどいたはずだった。
「・・・怒ってるのか?」
下を向いている。
「そうですよ」
泣き声なのは気のせいだろうか。
「開口一番腹減ったって・・」
自分はどのくらい寝ていたのだろう。
思いのほか静かなそこは病室でしかも個室だったようで(それに気づいたのは言った後だ)のだめは目をぱちくりさせていけた花を手にもって振り返っていた。
「・・りんご食べます?」
目を伏せて花瓶をのだめが置く。食う、と声を出せば自分でも驚くほどか弱い声だった。
そこの机の上には果物やらお菓子やらが積んであったが、そのかごの一つから林檎を一つ取り出してのだめは立ち去る。暫くして水の音、手にナイフを持って彼女は無表情で帰ってきた。
そこにある皿にするするとまではいかないが林檎をむいていく。柔らかな果肉に金属が切り込む音。のだめは無表情だ。
「どうぞ」
渡されたそれは器用にも二匹だけ変な形をしていた。どうも、と手を伸ばせば指先に甘い果汁が染みる。手にとったその変な形の林檎を見て、これ何?と言う。
「ウサギです」
嘘、と返して口の中に入れた。芳しい林檎の香。とげとげしい口調でのだめが返した。
「人に剥いてもらってその言い方はないでしょう?!」
そしてのだめは下を向いた。ごめんな、と小さく言った。
けれどそこは個室だからしっかりのだめの耳にはとどいたはずだった。
「・・・怒ってるのか?」
下を向いている。
「そうですよ」
泣き声なのは気のせいだろうか。
「開口一番腹減ったって・・」
自分はどのくらい寝ていたのだろう。
by kanae-r
| 2006-04-05 03:01
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