当ブログsoireeは管理人kanaeによる雑多な二次創作を扱っております。苦手な方等はご容赦ください。


by kanae
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30

六等の星

くしゃみをしたのはどうも千秋のようだった。
「ダイジョブですか?」
「誰のせいだよ」
さむ、と千秋が呟く。
「温めてあげましょうか?」
「死ね」
くしゅん、今度はのだめがくしゃみをした。白い息が生まれて消える。マフラーを少しあげて、染み入るような寒さを少しでも和らげようとした。
千秋はふと携帯を取りだし、少しいじって溜め息をつく。
「電波入ります?」
「いや、電源が入らない」
「のだめのはなんか画面が真っ黒デス」
しずか、な夜であった。車の通りはなく、人の通りはなく、民家の影さえない。街灯も思い出されるように、ごくまれにぽつねんと立っていた。道の両側には田んぼが続いていた。
「もうそろそろ人の家があってもいい頃ですよね」
「ん」
寂しすぎる道を歩きながらのだめは少しうつむいた。
二人ぶんの足音と、冬の静けさは耳をきるよう。そしてとても寒かった。
「もう、足の感覚が」
始まりはきっとホテルから散歩に出かけようとして山に入ったことだったのだろう。まさか彼処で落ちるなんて、と心中で密かに悪態をついた。
「…手、はさ」
「?」
見上げた顔は恐ろしいほどに澄んでいるように感じられた。
「大事に、な」
そろりと伸ばされた手がやわやわとのだめの手をつつみこみ、そして大きなコートのポケットにと誘導される。
「…先輩」
「なに」
「…すみませんでした」
しばらく沈黙があって、怒っているのかな、と思う頃に返事があった。
「……無事でなにより」
小さな声が耳に凍みるのだった。
きらり、きらり、小さな微かな光さえも自己主張する。空は満天の星、で。
[PR]
by kanae-r | 2005-12-29 06:24 | 連>nodame | Comments(0)