当ブログsoireeは管理人kanaeによる雑多な二次創作を扱っております。苦手な方等はご容赦ください。


by kanae
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静かという音

一斉になりやんだ音の終末を、知ったる掌がその中におさめる。余韻という音が完全に消えてしまうまで少し、観客は動きを忘れ息することを忘れる。最後の音が消えて、静寂が生まれ、それは場をおさめる指揮者が、その腕を降ろすときまで続くのだ。息を忘れ瞬きを忘れた観客が、息をすることを許され瞬きを許される、そしてどこか現実でないようなそんな場所からホールという制限された空間に戻ってくる、手を引いてエスコートするのが彼ならばまた手を離すのも彼なのだ。
昨日自分にフランス料理を作っていた手が、昨日頭をはたいた手が、昨日優しく髪に触れた手が、今こうして5000ばかりの聴衆の手を離し70ばかりの楽団員の意識を離した。一人にしたら微かな溜め息が、ついた本人たちが驚くほど大きな、5000人の感嘆の声にならぬ息として、どよめきをつくり、それから割れんばかりの拍手になった。例外なく隣の老夫婦も、反対側の紳士も、前も後ろも立ち上がり口笛をならす。
何故かその波に乗り遅れたのだめが、確かに音楽を受けとめながらも、それが溢れ出さないようにと息を止めて静かに押さえつける。溢れてはもったいないような気がして、なぜならこの感覚をずっと残しておきたいからだとかすかに思う。堪えられないものがいくつか涙となって頬を流れ落ちた。それから誰にも負けない声で、ブラボー!と叫んだ。届いたのか届かなかったのか、彼は優雅に一礼する。
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by kanae-r | 2005-12-29 20:14 | 連>nodame | Comments(0)

六等の星

くしゃみをしたのはどうも千秋のようだった。
「ダイジョブですか?」
「誰のせいだよ」
さむ、と千秋が呟く。
「温めてあげましょうか?」
「死ね」
くしゅん、今度はのだめがくしゃみをした。白い息が生まれて消える。マフラーを少しあげて、染み入るような寒さを少しでも和らげようとした。
千秋はふと携帯を取りだし、少しいじって溜め息をつく。
「電波入ります?」
「いや、電源が入らない」
「のだめのはなんか画面が真っ黒デス」
しずか、な夜であった。車の通りはなく、人の通りはなく、民家の影さえない。街灯も思い出されるように、ごくまれにぽつねんと立っていた。道の両側には田んぼが続いていた。
「もうそろそろ人の家があってもいい頃ですよね」
「ん」
寂しすぎる道を歩きながらのだめは少しうつむいた。
二人ぶんの足音と、冬の静けさは耳をきるよう。そしてとても寒かった。
「もう、足の感覚が」
始まりはきっとホテルから散歩に出かけようとして山に入ったことだったのだろう。まさか彼処で落ちるなんて、と心中で密かに悪態をついた。
「…手、はさ」
「?」
見上げた顔は恐ろしいほどに澄んでいるように感じられた。
「大事に、な」
そろりと伸ばされた手がやわやわとのだめの手をつつみこみ、そして大きなコートのポケットにと誘導される。
「…先輩」
「なに」
「…すみませんでした」
しばらく沈黙があって、怒っているのかな、と思う頃に返事があった。
「……無事でなにより」
小さな声が耳に凍みるのだった。
きらり、きらり、小さな微かな光さえも自己主張する。空は満天の星、で。
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by kanae-r | 2005-12-29 06:24 | 連>nodame | Comments(0)

一等の星

群青の色の空から薄い橙が西の地平線に広がっていた。
ふうっと吐き出した息が仄かにしろみを帯る。となりの人のそれを見、千秋は少し冷えて来たのだと感じる。
「あ」
引いた手を少しかたく握り締めたら、のだめが小さな声を出した。その視線の先を見やる。
反対の腕がすっくと指差す。
「おー」
煌煌と、橙と青の混ざった緑色の空に一つ、星が光っていた。
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by kanae-r | 2005-12-20 17:30 | 連>nodame | Comments(0)

浸透圧

「じゃあ・・五秒な」
「やたっ!」
「いーちにーいさーんよーんご・・」
「・・・」
「おい」
「沁みますぅ・・」
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by kanae-r | 2005-12-11 19:45 | sss>nodame | Comments(0)