当ブログsoireeは管理人kanaeによる雑多な二次創作を扱っております。苦手な方等はご容赦ください。


by kanae
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それから、静かという音

耳鳴りのするような夜だった。あまりに静かなのだ。ほんの、少しだけ、戦慄を覚え、身震いする。
「…さむい…寒い!」
苦し紛れにそういいはなつ。白く吐息が生まれて消えた。
「あたりまえだろ」
中に聞こえていたようで返答がある。がらりと開け放たれた入り口に立ってもって、珍しく千秋が迎え入れるという優しさを見せた。(なぜかのだめには、優しい千秋が自然に思い浮かばないのだった)
のだめは急いで部屋の中へと入り、あたたかかな空気が体を包んで余計に震えた。深夜二時、小さなランプが光るだけの部屋、空気だけがあたたかみをもち、少し前まで明かりがついていたことを知らせる。
「さーむーいー」
「ばーか」
薄いパジャマは冬の寒さを防ぎはしない、暖をとるように身を寄せれば、まるでこどもあつかいのように髪をぐちゃぐちゃにされる。風呂上がりのにおいがして、のだめが幸せに浸っていると首ねっこを掴まれて、ベッドまで放り出された。(今度はまるで猫のように!)荷物を片付けた感あふるる千秋が、広いダブルベッドの向こうの方に倒れこむ。ふぅーと深い溜め息をついた。
「…疲れた」
かすれるような小ささをのだめはしかときいた。
「お疲れデスね」
「少しな」
「だいぶデス」
小首を傾げて問う。
「そんな真一クンにサービスしま」
「いりません」
瞬殺ー!と喚きながら千秋の上に倒れこむ。背中は温かかった。
「ここで寝たい」
「寝れば」
「いいんですか」
「うん」
「どうでもいいんでしょ」
「うん」
「甲斐性なし」
「言ってろ」
「襲いますよ」
「こわー」
千秋は寝る時に、静かに静かに眠りに落ちる。こちらが気付いた時には寝ている、そういうように。きっといつの間にか彼は寝てしまうのだろう、そうしたら布団をかけてあげよう、穏やかな心臓の音を聞きながらそう思う。
「お休みなさい」
「お休み」
そしてほら、彼は眠りに落ちる。のだめは静かに静かに、千秋の背中の上下にあわせて揺れていた。
投げ出された手をふと見やり、手の甲を少し、中指でなぞった。少し嫉妬するこの手が、同じようにのだめの指を嫉妬するならば、それはある意味、憧れというのだろう。毛布をかけて、目を閉じる。
「(ピアノ、ひきたい)」
音楽へのあくなき欲求が、のだめの中に静かに、とぐろをまいてこちらを睨んでいた。さあ見せてみろ、と言わんばかりに。温かな幸福をたしかに感じながら(それはまさに今自分の下にある)、同時にあるものは、きっと幸せな選択肢なのかもしれなかった。
「お休みなさい」
呟いた声に返事はない。静かな夜、微かな微かな寝息さえのぞけば、きっと耳の痛くなるような静けさだったのだろう。シーツの皺の陰が少し、蛇のように見えた。
 
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by kanae-r | 2006-01-03 22:03 | 連>nodame | Comments(0)

静かという音、と

そして表現されたのは彼女「らしい」世界だった。良くも悪くも、多少脚色され、とはいっても完全な再現など不可能ではあるが、それはこうして彼女の中に受けとめられたのだ。ふと振り返った顔が自分に気付きフリーズする。確かに本人には聞かれたくあるまい。いつもなら頭をはたくところを、敢えて流し、キッチンへとむかった。
持ってきたコーヒーを見て彼女は多少安堵したようだ。あからさまに顔を緩め、なんとも言い難い顔をした。
「ありがとうございマス」
渡す時に少し、掌が触れ、のだめが驚いたように手を引っ込めた。
「‥あついぞ?」
「いえ!あの、はい、頂きます」
今度は確かと渡して、自らの分を口に含む。やはり微妙な顔をしながら、ちらりちらり、と彼女はこちらをみやっていた。会話もなくただ喉を滑り落ちる音が聞こえるくらい、静かな空気だ。何を思うのか、彼女の目線はぼんやりと空中を漂う。
「…なんか、弾いて」
ぽつり、と溢した言葉はちゃんと彼女の耳まで届いていてくれたようだ。ふわり、綻ぶようにのだめが笑った。
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by kanae-r | 2006-01-02 08:47 | 連>nodame | Comments(0)