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当ブログsoireeは管理人kanaeによる雑多な二次創作を扱っております。苦手な方等はご容赦ください。


by kanae
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darkcyan





ここ数年でたくましくなった上司の腹は
年頃の娘らしく、おもったよりもずっと薄かった。

「・・・」
ぐ、と痛みに顔が歪んでいるのか、眉が苦しげに八の字を描いている。
「痛みますか」
六合塚の声に、朱はこくり、とうなづいた。
「鎮痛剤を」
腹から血が流れている。白いシャツに、赤く染みるそれは、一般市民が見ただけで色相が濁りそうな程、鮮やかだった。


「常守監視官」
「はい」
止血剤が織り込まれている銀色のパッチを傷口に貼り、鎮静剤と造血剤を打った後、
その傷がまるで嘘のように、彼女の上司は立ち上がった。
細い手首が、再び銃を構える。
ドミネータ―は、周辺の係数を察知したのか、共謀な武器に姿を変える。
「ドミネーターの言うとおり、撃ちませんよね」
「・・・」
本来だったら、部下二人が付くはずの日だった。
エリアストレスの急激な上昇によって、二手に別れざるを得なかった。
応援を頼んだので、もう間もなく、彼女の忠犬が現れるはずだった。

「まだ、間に合うと信じていますから」
彼女はセラピストでも無いのに、
なぜか話をしていると、色相がクリアになる気が、六合塚にはしていた。
実際、犯罪者が300オーバーの係数だったとしても、
彼女は相手との会話をやめようとしない。

「でも、その檻の中が天国ではなく、地獄だとしたら」
「法で裁ける犯罪者なのであれば、それが懲罰なのでしょう。それが法で裁けない可能性の問題なのだとしたら、それは無差別殺人と変わりません」
「・・わたしは常守監視官の怪我が、増えてしまうことが心配なので」
「・・・私の力不足ですから」
「相手は犯罪者だと、シヴィラシステムが言っているのでしょう。犯罪者相手に貴方の命の危険をさらすことが、わたしは耐えられないのです」
ふふ、と短い髪を揺らして、彼女が笑った。
近頃、全く見ることのなかった、彼女の笑みに、
思わずぽかんとなる。
「六合塚さん、優しいですね」

さぁ、気を引きしめましょう、と上司は言って、息をつく。
思ったよりも体力の消耗があるらしく、彼女の上司は、少しふらついていた。
by kanae-r | 2015-01-28 22:52 | Psycho-Pass