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当ブログsoireeは管理人kanaeによる雑多な二次創作を扱っております。苦手な方等はご容赦ください。


by kanae
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lavender





護送車に乗り込む寸前の雛河が、どこか、怒ったようにこちらに詰め寄せてきたので、
朱は思わず、その体を受け止めた。
「どうしたの、雛河くん」
「お姉ちゃん、ダメ、怪我」
六合塚から顛末を聞いていたらしい。雛河の顔が、興奮で少し赤くなっている。
表情は、怒りと焦り・喪失感による興奮。

「・・大丈夫よ」
目をしっかりと見てやれば、
仕切りに動いていた眼球が、少し落ち着いた。
「だめ、死んだらだめだから」
そして、自らの行動にようやく意識をしたのか、恥ずかしそうに顔を長い前髪に隠した。

最後、護送車に乗り込む寸前、雛河は少し自らの行動に反省をしていたのか、鬱々とした背中である。
六合塚が最後、こちらで何とかするから、という表情で朱をみやり、二人が乗り込んでいく。




自動運転で車が一路病院に移動する間、車内では機械の音声が、朱に語りかけてくる。
「脳細胞は高度な機能を支える代わりにエネルギー消費量が多いため、酸素不足に弱く、心肺停止により酸素の供給が絶たれると直ぐに死滅し始めます。 まず数分の内に人間の知的な精神活動を支えている大脳皮質が崩壊しこの時点で失外套症候群になります。 次に、十数分で脳機能の大半が廃絶し、回復不能となります。常守朱監視官、貴女のその自らの身体的損失を危惧しない行動が、我々にとっての損失でもあることを理解してください」
「・・・」
「そして、指示に従い、速やかに執行してください」
そんなことを言うなら、人間にドミネータの引き金を引かせる役割を果たさせるべきではない、と内心朱は思っている。人を裁くのはあくまでも法であるからだ。
by kanae-r | 2015-01-31 15:40 | Psycho-Pass