お嫁においで~黒木泰則の場合~
2007年 03月 14日
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黒木泰則は人生最大の局面を迎えているように思えた。腕の中でぐずっているのがいつか日本で想い続けた彼女、野田恵である。アルコールの匂いをぷんぷんさせながら、帰りたくない~!先輩のバカ~!とぐずる。鼻声でぴーぴー言っているそのさまがなんともまあ愛らしく思えてしまうのは昔のこともあるからなのだろうか。酒で上気した頬、アルコールで涙目の栗色の瞳、ぐずったせいで乱れた髪の毛。これは保護欲か一体何なのか。いやそんなことは無いのか。黒木泰則は少々葛藤していた。
「恵ちゃん、そろそろ帰らないと千秋君が心配してるんじゃないかな」
優しく言えばいやいや、と子供のように首を振る。まるで子犬のように。
「先輩なんか。しりま、せ」
また大粒の涙をこぼして言う。もうすぐ日も暮れようかという頃だ。道端で会ったにしろ、持ち物も無くうろうろしていたらたいそう危ないんじゃないかと思う。
黒木の心にふといたずら心が芽生えて、ようし、と思った。
彼女の話を聞いて確かに千秋君ちょっとなぁと少し思ったので、これは彼に対すちょっとしたおとがめ、ということで。
「恵ちゃん、千秋君に愛想尽かしたら、お嫁においで」
黒木泰則は人生最大の局面を迎えているように思えた。腕の中でぐずっているのがいつか日本で想い続けた彼女、野田恵である。アルコールの匂いをぷんぷんさせながら、帰りたくない~!先輩のバカ~!とぐずる。鼻声でぴーぴー言っているそのさまがなんともまあ愛らしく思えてしまうのは昔のこともあるからなのだろうか。酒で上気した頬、アルコールで涙目の栗色の瞳、ぐずったせいで乱れた髪の毛。これは保護欲か一体何なのか。いやそんなことは無いのか。黒木泰則は少々葛藤していた。
「恵ちゃん、そろそろ帰らないと千秋君が心配してるんじゃないかな」
優しく言えばいやいや、と子供のように首を振る。まるで子犬のように。
「先輩なんか。しりま、せ」
また大粒の涙をこぼして言う。もうすぐ日も暮れようかという頃だ。道端で会ったにしろ、持ち物も無くうろうろしていたらたいそう危ないんじゃないかと思う。
黒木の心にふといたずら心が芽生えて、ようし、と思った。
彼女の話を聞いて確かに千秋君ちょっとなぁと少し思ったので、これは彼に対すちょっとしたおとがめ、ということで。
「恵ちゃん、千秋君に愛想尽かしたら、お嫁においで」
by kanae-r
| 2007-03-14 02:50
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