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ちょっと前まで部屋でピアノを弾いていたはずの部屋からはもう音がしていなかった。音がしていないどころか気配がなかった。それからこれまでの記憶が走馬灯のように駆け巡り焦りと嫌な予感(これは笑える意味でだが)が入り混じる。夏の分厚い雲から、雷が鳴っていて部屋は少し暗かった。自分は夏の日本の湿気が嫌いで、とりわけこんな暗くて雷の鳴るような天気は気が滅入りそうだ。そうっと覗けば案の定無心に寝そべるのだめの姿。これからは心配するだけ無駄だと心の中で愚痴り、そして前回も前々回もこんな決意をしていた気がする。窓が開いていて雨のにおいがむっとしていた。何で窓を開けているんだか、突っ込むべき相手は口をあけてまぬけ顔で寝ている。色気のない奴。
窓に手をかけるとごろごろと空が鳴いた。ぴかりと空が光ったと思うと、大粒の雨が次から次へと降ってくる。千秋はぱちりと瞬きをした。
窓に手をかけるとごろごろと空が鳴いた。ぴかりと空が光ったと思うと、大粒の雨が次から次へと降ってくる。千秋はぱちりと瞬きをした。
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by kanae-r
| 2006-06-22 21:43
| sss>nodame
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